冬にキウイが店頭から消えるワケ
ここで非常に重要な事実がある。
キウイフルーツは、「春〜秋(4月〜11月)はニュージーランド産を中心とした輸入品」「冬〜春(12月〜3月)は国産品」というように、メインの出荷時期が明確に分かれているのだ。
つまり、同じ時期にスーパーの棚を奪い合い、国産の不足分を輸入が直接穴埋めしているわけではない。ニュージーランド産が流通する「春〜秋の市場」がマーケティングの成功等により劇的に拡大したのに対し、本来国産が担うべき「冬〜春の市場」は、生産量の減少によって拡大する需要に応えきれず、完全に取り残されてしまったのが現在の日本の姿なのである。
輸入が国産を駆逐したのではなく、ニュージーランドが担う「春~秋の市場」が戦略的に生産拡大したのに対し、国産が担う「冬~春の市場」は高齢化と担い手不足により、空洞化してしまったと言える。
毎月約7500トンの「チャンスロス」が発生
この「季節の分断」を前提に、現在年間約12万トンにのぼる巨大な需要と供給のバランスを月単位で分解してみると、市場の「空白」が浮かび上がってくる。
日本においてニュージーランド産を中心とする輸入品が流通する時期(4月〜11月の8カ月間)に、年間消費量の大部分である約10万トンが消費されている。これを月割りで計算すると、1カ月あたり約1.25万トンもの消費需要がコンスタントに存在していることになる。
ところが、南半球のニュージーランド産が出回らなくなり、日本の国産キウイがメインとなる冬から春(12月〜3月)の4か月間になると状況は一変する。この時期、日本国内の生産量である約2万トンをすべて市場に供給し切ったとしても、1カ月あたりの供給量はわずか約0.5万トンにとどまってしまうのだ。
本来であれば月間約1.25万トンの需要ポテンシャルがある市場において、供給が約0.5万トンしかない。つまり、実に「毎月約0.75万トン(7500トン)」、小売価格で計算すると約100億円(※)もの需要が満たされずに眠っている、巨大なチャンスロスが発生している計算になるのである。
この国産時期の供給不足により、冬から春にかけてスーパーの売り場からキウイが消え、棚が大幅に縮小してしまう。結果として、消費者がキウイを日常的に手に取る習慣が一度途切れてしまう。
春になって再びニュージーランド産が出回る時期になっても、消費者の購買行動が戻るまでに「ラグ」が生じてしまい、これがキウイ市場全体のさらなる消費拡大を阻害する最も大きな要因となっているのだ。加えて国産キウイはニュージーランド産果実よりもかなり単価が低い。理由は産地ごとの品質のばらつきや、追熟技術が輸入品に品質で劣るためだ。
※キウイフルーツの全国平均価格は1kgあたり1351円で計算。総務省の小売物価統計調査(2026年4月データ)より。

