かつて盛んだった「国産キウイ」生産

日本ではニュージーランド産のキウイフルーツがスーパーマーケットに多く並ぶことから、ニュージーランド原産と思われがちだが、実は中国原産の「オニマタタビ」というマタタビ科のつる性植物が祖先である。1904年にニュージーランドに種子が持ち込まれて品種改良が始まり、1959年に同国の国鳥である「キーウィ」にちなんで命名され、世界へと広がっていった。

日本に導入されたのは1966年頃。その後、1970年代にミカンの過剰生産による価格大暴落が起きた際、愛媛県などを発端として、代替の転作作物として全国に広まったという歴史を持つ。そのため現在でも愛媛県、和歌山県、福岡県などミカンの栽培地と重なる地域が国内の主要産地となっている。

国連食糧農業機関(FAO)などのデータによれば、日本のキウイ生産量は1985年の約3.6万トンから急増し、1990年には過去最高となる約6.9万トンを記録してピークを迎えた。

しかし、その後は農家の高齢化や樹の老木化、「かいよう病」と呼ばれる深刻な病気の流行、果実肥大期の高温少雨や猛暑といった温暖化の影響も重なり、減少の一途をたどっている。直近の2024年の収穫量は約2.1万トンにとどまり、かつてのピーク時の3分の1以下にまで生産基盤が縮小してしまったのである。

【図表】日本のキウイ生産量の推移
国連食糧農業機関よりHPより

輸入依存のキウイ供給

日本の生産が減少するなかで、需要の拡大を支えたのが輸入だ。

直近の2023年のデータを見ても、総消費量約11.8万トンのうち輸入が約9.6万トンを占め、「輸入が8割、国内生産が2割」という極端な輸入依存の構造へとシフトしている。

この日本のキウイ市場において圧倒的なシェアを握り、キウイ消費の倍増を支えたのがニュージーランドの「ゼスプリ・インターナショナル」である。同社はマーケティングやライセンシングを専門に行う巨大組織であり、2024/2025シーズンの売上高は約4700億円(50億NZドル/2026年5月末時点のレートで計算)に達している。

彼らがここまで市場を拡大できた背景には、緻密な戦略とイノベーションがある。まず最大の要因は、「酸っぱい」から「甘い」への品種転換だ。かつて主流だった緑色で酸味のある「ヘイワード」に代わり、2000年前後から果肉が黄色く驚くほど甘い「サンゴールド」などが投入され、酸っぱいのが苦手な若年層の心を一気に掴んだ。さらに2026年からは新たに「ゼスプリ・ルビーレッド」なども投入し、消費者の嗜好を的確に捉え続けている。

第二に、徹底した品質管理である。

キウイの品質を決める上で欠かせない「ドライマター(果実から水分量を取り去った状態)」の検査と追熟のコントロールが徹底している。収穫直後のキウイは硬く酸味が強いが、エチレンと呼ばれる植物ホルモンの働きによって成熟が促進される。ゼスプリは、低温環境で保管することで追熟の進行を遅らせ、必要に応じてエチレン環境に置くことで、出荷時期や販売タイミングに合わせて熟度を完璧に調整している。

輸出時には冷蔵コンテナを使用し、一定の温度帯を保ちながら輸送することで果実の劣化や過度な追熟を防ぎ、乾燥による品質低下も防いでいる。小売店の店頭においても、綿密な販売計画をもとに追熟管理により、常に食べごろの果実が陳列される工夫がなされている。

こうした生産から店頭までの徹底したリレーによって、「お店に並んだ瞬間が食べ頃」になるシステムを確立したのだ。買ってすぐにスプーンで手軽に食べられるこの仕組みは、タイパ重視の現代のライフスタイルに完璧にマッチしたのである。

第三に、2016年に誕生した「キウイブラザーズ」による強烈なマーケティングが成功を収め、「パワーフルーツ」としての健康メリットをポップに伝え続けることでリピート購入を強固なものにした。キウイフルーツのキャラクターたちが踊っているCMが記憶に新しい人も多いだろう。