物価高で広まった「テイクアウト弁当」

しかし、返還から30年近くが経ち、香港と深圳(中国)の経済的な立場は逆転した。香港は19年に起きた民主化デモをきっかけに、国家安全維持法が施行され、自由にモノが言える雰囲気ではなくなった。

中国化がどんどん進んだだけでなく、コロナ禍も追い打ちをかけて景気が悪化、物価も上昇し、香港の人々の生活は苦しくなった。

明るいネオンサインでカラフルな九龍、香港、中国
写真=iStock.com/fotoVoyager
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そんな香港で流行り出したのが「両餸飯リョンソンファン」というテイクアウトのお弁当だ。

「両餸飯」は「二つのおかずとご飯」という意味で、たくさんあるおかずの中から二種類選び、ご飯とセットで購入するスタイル。おかずを三つ選ぶこともできるし、スープつきにすることもできる。料金は二つのおかずセットだと35~45香港ドル(700~900円)くらい、三つのおかずセットだと45~55香港ドル(900~1100円)くらいだ。

週末は「中国で過ごす」ワケ

香港に住む友人によると、おかずの種類が豊富なので毎日のように買いに行っても飽きることがなく、出来立てで、自分で食材を買ってきて作るより安上がり。しかも美味しいそうだ。

そして、「北上消費」。物価が高い香港ではなく、深圳まで出かけて(北上して)消費することが流行っている。

香港の人々が毎週末のように家族そろって食べに行く飲茶もわざわざ深圳まで出かけて食べる。香港で食べるよりずっと安い上に、味もいいからだ。おまけにサービスもいいという。

以前だったら「深圳に着いたとたん、中国式サービスでイヤになっちゃう」と文句を言っていた香港人が多かったのに、今は逆。本当に時代は変わったんだなと思う。

週末になると、朝から深圳に行って飲茶をして、車のガソリンを入れて、歯医者やマッサージに行き、ショッピングセンターで食材を買って香港に戻る、というのが一般的な一日の過ごし方だそうだ。