※本稿は、佐々木正悟『人生が変わる自分時間の使い方』(フォレスト出版)の一部を再編集したものです。
もっと「睡眠」効果を活用すべき
精神分析家の松木邦裕さんは7時間以上、できれば8時間寝たいと述べています。人の心の深い部分に長年向き合い続ける仕事には、自分自身の心身のケアが不可欠です。松木さんをはじめとする精神分析家や医師が睡眠を重視するのは、それが休息になるだけではなく、心の回復と統合に不可欠なプロセスだと知っているからではないでしょうか。
さらに、「夢を見る」ことが心の回復に欠かせないと私は思います。夢を見るのは「レム睡眠」と呼ばれる「浅い眠り」のときと言われますが、夢を見られないと疲れが取れないと感じることがあります。
レム睡眠の「レム」は「Rapid Eye Movement(急速眼球運動)」の略で、レム睡眠の間、私たちの目は閉じたまぶたの下で激しく動いています。脳は覚醒時とほぼ同じくらい活発に活動していますが、体の筋肉は弛緩しています。この状態で、私たちは鮮明な夢を見るのです。
なぜ夢が心の回復に重要なのでしょうか。夢は、日中に経験した出来事や感情を整理し、記憶として定着させる過程だと考えられています。特に感情的な記憶の処理において、レム睡眠は重要な役割を果たします。嫌な出来事があった日の夜、私たちは夢の中でその体験をしばしば追体験し、感情を処理していきます。これは心理的な消化のプロセスなのです。
フロイトは「夢は無意識への王道である」と言いました。夢の中では、日中は抑圧していた感情や欲望が、象徴的な形で現れると言います。それは必ずしも快適な体験ではありませんが、心の奥底にあるものを表面化させ、統合していくプロセスとして機能しているというのです。
飲酒後の睡眠で「疲れが取れない」と感じる
睡眠薬やアルコールによって眠りにつくと、レム睡眠が抑制されることがあります。表面的にはよく眠れているように見えても、夢を見る時間が減り、心の回復プロセスが不完全になってしまうのです。人によっては薬やアルコールに頼った睡眠の後には、「寝たのに疲れが取れない」と感じることが多いのです。
「夢見」とは「自分一人のときに誰かと一緒にいる」究極のスタイルでもあります。夢の時間にはほとんどの人が「誰かと一緒」にいるはずです。もちろん夢は自分一人で見るものです。このとき私たちの心は何の苦労もなく「二人で一人」をやすやすと実現し、自力で回復を果たしているのです。
あなたにとっての最適な睡眠時間を見つけ、質のよい睡眠を確保すること。そして、夢を見る時間を大切にすること。これらは、日々の回復力を高め、長期的な心身の健康を支える基盤となります。睡眠は単なる休息ではなく、私たちの心と体が再生する、かけがえのない「自分時間」なのです。

