東京・秋葉原にも秘密警察の拠点が

中国の地方政府の公安局が、海外に秘密警察の拠点(通称「海外派出所」)を設置するケースが続出している。こうした拠点は、接受国の同意なく他国内で政府機能を持つ施設を設置・運営している点で、中国を含む世界192カ国が批准する「外交関係に関するウィーン条約」に違反するとの指摘が各国当局から出ている。

国際人権NGO「セーフガード・ディフェンダーズ」の調査によれば、中国の海外派出所は少なくとも53カ国・102カ所に達し、日本も含まれる。

【図表1】中国秘密警察の拠点があるとされる国
The Safeguard Defenders「Patrol and Persuade」より編集部がGeminiで作成

秘密警察の拠点では、在外中国人の免許更新などのほか、中国人留学生の監視、スパイ活動、さらには反体制派への脅迫やテロ予告などもおこなわれていることが、アメリカFBIの調査などから明らかになっている。数年前、秋葉原に海外派出所の存在が報じられたことを覚えている方も多いだろう。文藝春秋の報道では西日本の政令指定都市近郊での設立も確認されている。

海外での弾圧行為に「お墨付き」

どうやって中国の警察が外国で活動するのか。手口は主に2つある。

1つは、ビザやパスポートを取り上げ「言うことを聞かなければ故郷に帰れなくする」と脅すこと。もう1つは、中国に住む家族を人質にとり「言うことを聞かなければ家族が消える」と恫喝することだ。郷土愛が人一倍強い中国人にとって、このやり方はかなりの効き目があると言われている。

これまでこうした活動は、法的根拠が曖昧なまま行われてきた。民族団結法第63条が施行されれば、中国側は「国内法に基づく正当な執行活動」と主張できるようになる。法的な「お墨付き」を与えることで、海外での弾圧行為をより組織的・積極的に展開する狙いがある。

先述のセーフガード・ディフェンダーズの報告書によると、中国当局は2021年4月からの1年余りで約23万人の中国人を「説得」の名目で帰国させたとされ、海外派出所のネットワークがその一翼を担ったと指摘されている。

こうした活動には「国際法と領土主権の侵害」との非難が国際社会から出ている。アイルランド、カナダ、オランダの当局は自国の海外派出所に対して運営停止を求めているが、日本はいまだ実効性のある対応ができていない。