財務省の技術軽視
RTD市場のトップは「-196」などのサントリーで、シェア(市場占有率)は約45%。2位はNo.1ブランド「氷結」を有するキリンで、シェアは約25%。両社だけで、市場の7割に達する。
サントリー幹部は「最近は成長が鈍化しているものの、RTDは若者から支持を受けている上、発泡酒②からの流入は増えています。今年10月の酒税改正はRTD拡大のチャンス。ビール類が減ってもRTDが増えれば、それはやむを得ない。すべては市場が決めます」と語る。
1994年10月、サントリーが本邦初の発泡酒を発売して以来、ビール類の酒税統一は財務省主税局にとって30年越しの悲願だった。
「発泡酒、第3のビールと、メーカーは税率の低いものを開発してきました。税率一本化により、美味しいものの開発に注力してもらえれば、日本のビールの可能性は高まる」と財務省。
これに対し、エンジニア出身のビールメーカー首脳は「発泡酒の場合、少ない麦芽の量(原材料の25%未満)で美味しく発酵させる技術を確立した。これは、他国にはない先端でした。第3のビールなら、麦芽以外の材料で酵母発酵させたのもやはりイノベーションでした。3層を統一した酒税改正の根っこには、我々の技術に対する財務省の軽視があったように思えます」と反論する。
生き残りをかけた戦いが始まっている
ビール大手4社は、国内営業を中心として長らく展開してきた。しかし、アサヒは2016年、2017年に欧州のビール会社を相次ぎ買収。合計で1兆1600億円を投じた。20年にも豪州のビール会社を1兆1400億円で買い、昨年末には30億ドルを投じて東アフリカの酒類会社のM&A(企業の合併買収)を決めている。
サントリーは2014年、米ウイスキー大手を1兆6400億円で買収。最近も第一三共から一般医薬品子会社の買収を決めた。医薬への再参入となる。
キリンHDは23年に豪州の健康食品メーカーを買収するなど、ヘルスサイエンス事業強化を進めている。脱国内市場、脱酒類の動きが、業界内では活発だ。
一方でサッポロは、「恵比寿ガーデンプレイス」などを所有する不動産子会社を、4770億円で段階的に売却していく。大株主である3Dインベストメント・パートナーズとの協議で決めたが、売却で得た資金をビール事業に投じていく。これに伴い、サッポロホールディングスは7月、社名を23年ぶりにサッポロビールに戻す。
各社各様の動きの中で、10月以降はビール類をめぐり、商戦が激化するのは間違いない。もしも、市場そのものの縮小に歯止めがかからないようなら、現在の4社体制が瓦解する導火線となる可能性も膨らむ。


