卸を介さないからこその激安

筆者は2018年秋にも、前述と同じさいたま市内の「ミニストップ」で350ミリリットル缶の店頭価格を調べている。「バーリアル」は84円(消費税8%込み)に対し、同じ第3のビール「のどごし生」は143円(同)と59円も安かった。

卸を外したことで“激安”を実現したが、イオンは高度な倉庫機能を有しているため、メーカーと小売りとの直接取引を可能にした。

「バーリアル」は韓国大手ビールのOBビールが円高時代から生産していたが、円安が進みイオンは受諾生産先をキリンに切り替えたのである。ちなみにOBビールは、世界最大手で「バドワイザー」や「ステラ」などを生産するアンハイザー・ブッシュ・インベブ(ベルギー・ルーベン)の傘下にある。

キリンの幹部は言う。「18年当時、キリンは流通から大変な批判を浴びました。しかし、時代は変わり、今は批判はなくなった」。発泡酒「バーリアルグラン」も直取引である。

では、サッポロが受諾生産する「プレミアム生ビール」(発売は22年3月)はどうなのか。「プライベートブランドについては、委託元との契約条項に基づき取引形態の詳細は回答を控えます」(サッポロビール広報部)とする。

カインズのビール138円の秘密

ビール業界関係者は次のような指摘をする。

「『プレミアム生ビール』はサッポロの工場で出荷されると、卸を経由せずにイオンの倉庫に直に搬入されています。ただし、伝票だけは卸を通っているはず」

ホームセンターのカインズが4月に発売したPBビール「黄金ラガー」は、330ミリリットル缶で138円(税込み・330ミリリットル缶は欧州で多い)。酒税改正で税額が下がるビールを商品化したが、業界最安値のレベルだろう。

ベトナムのビール会社が生産した同商品は、日本のカインズの倉庫に直接入る。「卸を介していない」(カインズ)構造なのが、最安値の理由の一つである。

カインズが発売している138円のビール
画像提供=カインズ
カインズが発売している138円のビール

もう一つ、価格面でもビール類に脅威を与えそうなのがRTDだ。家庭需要が大きく発泡酒②と競合する一方、若者に人気なのはRTDの特徴。

10月の酒税改正で、ビール類は350ミリリットルあたり54.25円の税額で統一される。これに対し、RTDは7円増税されて35円になる。日本酒やワインと同じ税額で統一されるが、ビール類よりも19.25円安い。

6月に前述の「ミニストップ」で購入した、イオンのPB缶チューハイ(350ミリリットル)は118円(税別)だった。「バーリアルグラン」より10円安く、増税される7円がオンされても125円である。