「世論の熱が高い間は持つのではないか」

世論が離れつつあるが、それより問題なのは、首相自身が事態の把握や収拾に乗り出そうとしないことだろう。衆院選大勝、なお高い内閣支持率、ネットの熱狂的な支持層に囲まれているからか、今後も疑惑を強く否定するだけで、特別国会(7月17日まで)を乗り切れると高をくくっているのではないのか。

衆参両院の与野党国対委員長らは6月16日、首相が出席する予算委の集中審議を22日に開催することで合意した。首相がフランス・エビアンでのG7サミット(15~17日)の成果について報告し、それを審議することが主な議題だが、中道改革、立民、共産など野党は首相公設秘書による中傷動画疑惑をさらに追及する構えだ。

フランス・エビアンで開催されたG7サミットで、高市総理は2026年6月15日、ワーキング・ディナー「主要な国際課題への対処」に出席
フランス・エビアンで開催されたG7サミットで、高市総理は2026年6月15日、ワーキング・ディナー「主要な国際課題への対処」に出席(写真=Dati Bendo/European Union/CC-BY-4.0/Wikimedia Commons

特別国会では現在、与野党9党が「選挙運動に関する各党協議会」で、SNS上の偽・誤情報対策に関する議論を進めている。AIで作成された画像や文書については投稿者に表示義務を課すこと、虚偽と知りながら候補者の偽・誤情報を流布しないよう規制することなどを盛り込んだ公職選挙法改正案だけでなく、選挙時の偽・誤情報対策をSNS運営事業者に義務づける情報流通プラットフォーム対処法改正案を今国会に提出することで合意している。

両改正法案が成立すれば、今回の中傷動画の作成・拡散は、刑事罰や当選無効、IT事業者による強制アカウント削除、広告配信停止といったペナルティの対象となる。この議論の過程でも、動画疑惑が取り上げられる。

高市首相はこのまま逃げ切れるのか。自民党の閣僚経験者の一人は「高市さんには周りの支えがないのだが、世論の熱が高い間は持つのではないか」と見る。特別国会最終盤を舞台にした与野党攻防の行方は予断を許さない。

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