いつまで価格上昇圧力が続くのか

問題はいつまでナフサ由来製品の価格上昇圧力が続くか、という点だが、松方氏は「少なくとも夏までに下がる未来は見えない」と分析する。

すでにナフサ調達コストがうなぎのぼりに上がっていたことから、上流のクラッカーを所有する総合化学メーカーも値上げせざるを得ないというのがその大きな理由だ。

また、松方氏は石油化学製品のサプライチェーンにおいて、この10年は上流が弱い立場に置かれていたことも指摘する。内需が弱ったことに加え、下流企業からの値下げ圧力が強く、総合化学メーカーはクラッカーの設備過剰に陥っていたというのだ。

「総合化学メーカー各社は近年、クラッカーの統廃合を進めていた。そこにホルムズ危機が直撃し、いきなり『稼働率を上げてくれ』と政府・川中川下のメーカーから催促される形になっている。これまで総合化学メーカーは製品のスペックを向上させても売値を上げられなかったのに、今では川中・川下の業者は言うことを聞くしかない。ここにきてはじめて上と下の立場が逆転している」(松方氏)

そりゃ容器が白くなったり値段も上がるわ…

消費者もある程度の値上げは仕方がないと受け入れるしかない、ということか。

「そもそも、日本が原油のほぼすべてを依存している中東で大規模な軍事衝突が起きている。非資源国の日本に住んでいて、この影響を全く受けないというのは非現実的。ナフサショックの教訓として、中東以外からもう少し原油を調達するとか、クラッカー企業の稼働率を上げるべく価格転嫁をするといった努力を官民あげて行う必要がある。いわゆる『目詰まり問題』も、サプライチェーンがこれほど長く、複雑な現状では聞き取りベースでは全貌を把握しづらい。デジタル技術を使って透明性を高めることも一案だろう」(松方氏)

我々の生活がいかに石油化学製品に依存しているか知っておくことが、スーパーで買い溜めしたり、白いトレーにのった寿司に驚いたりする前に必要なことなのかもしれない。

スーパーの精肉コーナーの棚に目を走らせる女性
写真=iStock.com/Hakase_
※写真はイメージです
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