大金をはたいてナフサを買っている現実

さて、冒頭に松方氏が、ナフサ高騰でお弁当の容器から保冷剤、オムツ、シャンプーの詰め替えパウチなどの製品の値上げ圧力が高まる、と論じたのには明確な理由がある。

「中東産の原油も、中東で精製されたナフサも、双方とても安かったが、情勢不安の今はどちらも価格高騰しているし供給も不安定。アメリカや南米産の代替品も高い」というシンプルな理由だ。

松方氏によると、そもそも日本が必要とするナフサのうち、日本の製油所で生産できるナフサは4割程度しかないという。つまり6割はすでに精製されたナフサ(うち、約7割が中東から)を買っていた。

ところがホルムズ危機でこの状況が一変。日本の製油所で生産するナフサをつくるにしても、これまで中東に依存していた原油の代替を探してくる必要があるし、精製されたナフサも価格が急騰するなど価格が不安定化した。

メーカーや商社は多額の資金を投入

実際、松方氏は、石油元売りや石油化学メーカー、商社はすでに精製されたナフサを購入するために、多額の資金を投入していると明かす。

「ナフサの調達価格は(先物取引が中心的な)原油と違い、現物取引に占めるウエイトが大きい。つまりナフサの量が足りないとなると、世界中で争奪戦が始まるということだ。実際、『以前と比べると信じられない値段』で買っているという話も聞いた。これでは、川中・川下に売るときに価格転嫁をせざるを得ない」(松方氏)

松方氏はまた、日本の輸入品も値上がりすると指摘する。高騰するナフサのあおりを受ける国は日本だけでは当然ない。日本人が百円ショップや家電で買うあらゆるアイテムをつくる工場があるベトナムやタイなどの国々でもナフサ調達コストは上がっている。

これが松方氏が「ナフサ由来製品の値上がりは避けられない」と話す理由である。