確かに皇室典範の改正問題は高市政権に複雑な影響を与えそうだ。

この問題では、皇族数を確保する方法として△女性皇族が結婚後も皇室に残る案と、△旧宮家の男系男子を養子に迎える案の二案が、衆参両院の正副議長のもとで「立法府の総意」としてまとめられた。特に男系男子の養子案については、憲法違反の疑いがあると立憲などに反対論も根強く、立法府の総意と言えるのか、疑問の声も残っている。

しかし、男系男子の養子案にこだわってきた麻生氏は、この国会で何としても皇室典範の改正案を成立させたいと意気込んでいる。

「立法府の総意」という麻生氏の“悲願”

亡くなった三笠宮寛仁ともひと親王妃の信子さまは、麻生氏の実妹だ。皇族の親戚でもある麻生氏は、21年前、女性天皇を認めるべきだとした小泉内閣の有識者会議で、男系男子の養子案が明確に否定された後も、その実現を主張し続けてきた。男系男子の養子案は麻生氏の悲願なのである。
 
それが、麻生氏が後ろ盾となって誕生した高市政権の高い支持率を追い風に、ついに実現しようとしているのだ。

 麻生氏が前のめりになるのも当然かもしれないが、しかし、主要メディアの世論調査では女性皇族の身分保持については7割から8割の支持がある一方、男系男子の養子については、支持が半数を超えていない。さらには、「立法府の総意」が取りまとめられた後も、主要な新聞社の社説の多くが、「女性天皇の検討を置き去りにしたままでは、皇族数の確保にもつながらない」として、今回の検討そのものにも疑問を投げかけている。

「国民に理解されるもの」になっているか

天皇陛下は、政治的な発言は慎重に避けながらも、皇族数の確保に関する与野党の動きについて「国民に理解されるものであることを望んでいる」と述べられた。世論調査の結果を見る限り、この案が国民の理解を得ることは相当難しいと言わざるを得ない。それでも、古い伝統に逆戻りしようという麻生氏の執念に従っていくことになるのだろうか。

いくら数の力があると言っても、高市首相の求心力が落ち始めているなかで、麻生氏が自らの野心を強引に押し通せば、世論の支持を失う可能性が高い。

フランス・エビアンで開かれるG7サミットという華々しい外交舞台で政権浮揚を期待する高市首相の周辺だが、その足元は、すでに揺らぎ始めている。

【関連記事】
「白黒ポテチ」に目くじらを立てる小ささよ…「孤独な首相」よりずっと深刻、幹部官僚が漏らした高市政権の限界【2026年5月BEST】
保守層の「高市離れ」が始まった…大勝したのに空回り、自民党幹部が漏らした「孤独な首相」という政権の急所【2026年3月BEST】
「本当のお金持ち」はポルシェやフェラーリには乗っていない…FPが実際に目にした「富裕層のクルマ」の真実
片山さつき大臣が問題視するわけだ…大量の中国人客が来ても日本人が潤わない"中国系決済アプリ"の闇【2026年5月BEST】
習近平のメンツは丸つぶれ…トランプが帰国直前にメディアの前で"中国からの支給品"をゴミ箱に捨てた意図【2026年5月BEST】