ハズレの医者を引きやすくなるシステム
私も地域の医師会の休日夜間診療所の応援で診察に行くことがあります。内科でも時間帯によりますが保険点数としては800点(8000円)から1000点(1万円)程度であり、小児科の報酬がいかに高いかが分かります。
こうした待遇の改善が、“儲かるから、小児科の夜間・休日診療をやろう”という動機を招き、小児科クリニックのコンビニ化につながっているのです。
そして、都心部では多数の365日型のクリニックが乱立し、まるでファストフード店のように医療法人がチェーン展開するなど、産業化が進んできています。
利益を重視して診察するなら、施設の規模は大きいほど儲かりますが、その分医者も必要です。人材を確保するために、一般の病院やクリニックよりもかなりの良い待遇で募集をし、それに応える医者もいます。こうなると、医者としての志や技術は後回しです。
結果、「ハズレ」の医者が交ざる確率が高まっていくのです。
便秘と誤診され精巣を失った男の子
実際、コンビニ化されたクリニックで、知識や技術の未熟な医者による医療事故も起きています。私が知っているのは「精巣捻転症」という、精巣の位置がねじれてしまう病気で受診した小学生の男の子の事例です。
早朝に下腹部に痛みを感じた男の子がクリニックを受診したところ、医者は男の子の症状を便秘と診断し、浣腸を3回行って家に帰したそうです。
症状が治まらないため、男の子が別の病院で診察を受けたところ、「精巣捻転症」であることが判明したのです。基幹病院に緊急紹介をして治療を受けることができましたが、精巣を1つ摘出しなければならない事態となりました。
このケースは、その後医療訴訟に発展し、最初に診たクリニックと担当の医者は損害賠償金を支払っています。
子どもの健康を守るために診療報酬を上げたのに、それを不適切に利用しようとする病院経営者や医者がいることで、医療全体の信頼を揺るがせるような事態を招きました。
便利な病院が悪いわけではありません。ここで重要なのは、患者さん側が「便利だから」という理由だけで病院やクリニックを選ばないことです。
自分や家族の健康を守るという観点から、「アタリ」の病院、「アタリ」の医者に出会うためのアンテナを常に張っておくことが大事だと思うのです。
