観察、記録、考察、栽培

すべての源となる種子も、産地や収穫年によって発芽特性が異なる。

「同じ種でも、アメリカ産とイタリア産では全く違うんです」と村上さん。農産品である以上、その個体差は避けられない。だからこそ、毎日の観察と調整が欠かせない。

「同じようには育たないので、種子に合わせて考えながら育てるしかありません。栽培者が毎日観察して、記録をつけて、考察して、その都度判断しながら栽培するしかないんです」

そこで、毎日の商品サンプルを広島の品質管理室に毎日集め、統一基準で採点する仕組みを作った。

「生産拠点が1カ所だけだと、品質が本当にいいのか悪いのか分かりません。たとえ、栽培者が『この品質が限界です』と言ったとしても、本当に限界なのかは他の拠点と比較してみたらわかります。全国に13の拠点があることが、品質を安定させる強みになっています」

ブロッコリー スーパースプラウトファクトリー内にある、栽培コントロールルーム(山梨県北杜市)。すべての栽培装置や施設内の環境を管理、栽培状況をリアルタイムでモニタリングできる中央制御システムだ。
提供=村上農園
ブロッコリー スーパースプラウトファクトリー内にある、コントロールルーム(山梨県北杜市)。すべての栽培装置や施設内の環境を管理、栽培状況をリアルタイムでモニタリングできる中央制御システムだ。
【図表2】全国生産拠点
提供=村上農園

南は沖縄、北は北海道、そして海外にも…

複数の拠点があることには、「管理が大変」というデメリットもある。だが、この「全拠点で品質を比較・標準化する仕組み」こそが、新拠点展開の武器にもなった。

2012年には、本土とは気候の異なる沖縄でも、このノウハウを活かして地元企業との合弁会社を起業。3年で黒字化に成功した。加えて台湾では、2022年からライセンス契約で「三日苗・超級青花椰苗(ブロッコリー スーパースプラウト)」の現地生産が始まっている。

台湾で現地生産されるブロッコリースーパースプラウト。3日で育つ苗、その名も「三日苗」だ。
提供=村上農園
台湾で現地生産されるブロッコリー スーパースプラウト。3日で育つ苗、その名も「三日苗」だ。

さらに、2025年には、北海道にも生産工場が完成し、北から南までカバーできる体制が整った。

ちなみに、ブロッコリースプラウトにおいては、がん予防に有効な「スルフォラファン」の含有量まで厳格にチェックし、さらに高濃度な種子の品種改良にも取り組んでいる。現在の「第4世代の種子」では、初期の1.7倍の濃度を実現。「他社のものとは比較にならない」と胸を張る。

パッケージに記された黄色の「ブラシカマーク」は、スルフォラファンの含有量と品質がジョンズ・ホプキンス大学ポール・タラレー博士の基準を満たしている証明で、日本では村上農園だけが認定を受けている。

ブラシカマーク
提供=村上農園
ブラシカマーク

ところで、村上農園は自らを「施設野菜メーカー」と呼ぶ。

どうして「農家」ではないのか。