「皇室典範改正は今国会で行けるのでは」
今回、皇室典範改正に向け、政治が再び動き出したのは、2月27日の衆院予算委員会での高市早苗首相の答弁がきっかけだった。
「過去に8人10代の男系の女性天皇がおられたことは歴史的な事実で、過去の女性天皇を否定することは不敬に当たると考えている。皇位が女系で継承されたことは一度もない。有識者会議の報告でも皇統に属する男系男子に限ることが適切とされており、政府としても、私としても尊重している」
首相は、男系継承を維持し、旧宮家の養子案を支持すると踏み込みたかったのだろう。だが、政府の21年の有識者会議の報告書にそんなことは書かれていない。木原稔官房長官はその後の記者会見で、首相の誤認(理解不足)について、「『男系男子に限る』との首相答弁が念頭に置いているのは、皇位継承ではなく、旧宮家が養子として皇族に復帰する場合の資格だ」とフォローせざるを得なかった。
21年報告書は、皇位継承の流れは秋篠宮さま、悠仁さままで揺るがせにしないという前提で作成された。それを受けた今回の全体会議でも、男系維持か、女性・女系容認かという本丸の議論は棚上げされている。
この首相答弁に反応したのが、自民党の皇室典範改正論議の責任者で、旧宮家の男系男子を養子として皇族に迎える案を重視してきた麻生太郎副総裁だった。周辺にこう語る。
「高市首相がぶれなければ、皇室典範改正は今国会で行けるのではないか」「衆院選で中道改革連合がほぼ壊滅した。野田佳彦元首相が『内親王や女王が結婚して皇族のままというのはいいが、配偶者も皇族に』と譲らなかったが、これで風向きが変わる」
「女性天皇の是非も含め、議論深めたい」
1年前の石破茂政権当時は、額賀福志郎衆院議長ら衆参正副議長の下で、首相経験者の麻生、野田両氏が非公式協議を続け、25年5月27日に女性皇族案を先行して当時の国会で成立させることで大筋合意したが、6月3日の最終確認協議が突如中止となり、事実上決裂した。
麻生氏が旧宮家養子案との同時成立を要求して翻意したためで、野田氏が5日の記者会見で「完全にちゃぶ台返しのような話で、交渉当事者としての信頼に関わる。極めて遺憾だ」と批判し、皇室典範改正への動きが止まったという経緯がある。
麻生氏は今回、女性皇族案と旧宮家養子案の同時成立を目指して積極的に仕掛ける。麻生氏側近の森衆院議長が4月15日に全体会議を1年ぶりに再開し、中道改革連合に1カ月以内の見解の取りまとめを要請した。立憲民主党系と公明党系で意見が割れていたからだ。
4月20日には自民、日本維新の会、中道改革連合、参政党の与野党国会議員100人らが参加し、皇室典範改正に向けた声明を採択した集会で、麻生氏は「必ず今国会で成し遂げなければならない」「旧宮家の男系男子を養子として皇族に迎えることができれば、新たな皇族数確保の道が開かれる」と力説した。
意見表明が遅れていた中道改革連合は5月15日の衆参両院の全体会議で、女性皇族案について「優先的な方策」との立場を示し、旧宮家養子案について「制度化も考えられる」として一定程度容認する見解を示した。

