「22時~2時がゴールデンタイム」もあやしい

また、「22~2時までが睡眠のゴールデンタイム」といった説も耳にしますが、これも根拠は乏しいです。ただし、「睡眠のゴールデンタイム」自体はあるといわれていて、それは入眠後に訪れる睡眠周期の最初の1サイクルが終了するまでの間です。この最初の1サイクルではノンレム睡眠のステージ・N3が長く続きます。

N3の睡眠時には、疲労回復や細胞の修復、筋肉や骨の成長、免疫力の強化などの役割を果たす成長ホルモンの分泌が活発になるのです。この最初の1サイクルの途中で睡眠が妨げられるようなことがあると、その後の睡眠周期も乱れ、質の悪い睡眠となって覚醒後も眠気や倦怠感が続くといわれています。

〈今日から試そう〉

・毎日9時間以上寝ている場合は睡眠外来を受診する
・入眠直後の睡眠を妨げられないようにする
・質のよい睡眠をとるために本書の第1章以降を読む

ほとんどの人は「自称ショートスリーパー」

× 自分はショートスリーパーだから大丈夫

◯ ショートスリーパーのほとんどはただの睡眠不足

書影
小林義昭『「やること多すぎ世代」の快眠図鑑 忙しくても“自然と眠れる”ルーティン50』(小学館クリエイティブ)

ナポレオンにエジソンにダ・ヴィンチ……歴史上には1日に3~4時間しか寝ない「ショートスリーパー」といわれる人がいます。現代でも、「自分は3時間しか寝なくても大丈夫!」と口にしている人が散見されます。さきほども述べたように、最適な睡眠時間には個人差があり、一般的に目安とされる6~8時間の範囲から大きく外れた人もごくまれに存在するのは事実です。

しかし、ショートスリーパーに関する遺伝子の変異を特定した米カリフォルニア大学の研究によると、その発生率は10万人中わずか4人ということでした。つまり、「3時間しか寝なくても大丈夫」という人のほとんどは自称ショートスリーパーにすぎないといえそうです。

真のショートスリーパーは、6時間未満の睡眠でも毎朝自然に目が覚め、日中に眠気を感じることなく、仕事のパフォーマンスも落ちない、休日も平日と同様の短い睡眠で自然に目が覚める、などの特徴があります。また、子どもの頃から睡眠時間が短く、昼寝をしない、といった特徴もみられるようです。

真のショートスリーパーであるかは遺伝的特質で決まっているとされるので、努力でなれるものではありません。つまり、ほとんどの自称ショートスリーパーたちは、単に睡眠負債をため込み、パフォーマンス低下に気づいていないだけと考えられます。なお、前述の偉人たちも、じつは頻繁に昼寝をしていたといい、ナポレオンは馬上で居眠りをして落馬したという伝説もあります。

〈真のショートスリーパーかどうかがわかるチェックポイント 〉

・6時間未満の睡眠でも毎朝自然に目が覚める
・休日でも平日と同様、自然に早起きができる
・日中に眠気を感じたことがない
・仕事や学校での活動で行動力や想像力が低下しない
・小児期~若年期頃から睡眠時間が短い

〈今日から試そう〉

・チェックポイントでショートスリーパーかどうか確かめる

<参考文献>
※1 西野精治. スタンフォード式最高の睡眠. サンマーク出版; 2017.
※2 経済産業省. 企業の「健康経営」ガイドブック [Internet]. 経済産業省; 2016 [cited 2026 Mar 4]. Available from: https://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/healthcare/kenkokeiei-guidebook2804.pdf
※3 Organisation for Economic Co-operation and Development (OECD). Time use across the world: Gender data portal [Internet]. OECD; 2021 [cited 2026 Mar 4]. Available from: https://view.officeapps.live.com/op/view.aspx?src=https%3A%2F%2Fwww.oecd.org%2Fgender%2Fdata%2FOECD_1564_TUSupdatePortal.xlsx
※4 NTT PARAVITA ねむりの応援団. 【調査レポート】働き世代の睡眠の実態とは? 80%が日本の平均睡眠時間に満たないことが明らかに [Internet]. [cited 2026 Mar 4]. Available from: https://nemuri-supporters.nttparavita.com/blog/sleep0037

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