カイル復活の裏で起こった製品値上げ
復活したカイルに象徴されるコパイロット キーボードは、日本のユーザーにとって思わぬ救世主となる可能性がある。
マイクロソフトがカイルを製品に蘇らせると発表したのとほぼ同じ時期、日本語入力の老舗企業が、別の動きに出ていた。
ワープロソフト「一太郎」で知られるジャストシステムは昨年11月25日、日本語入力ソフト「ATOK」のサブスクリプションプランを上位の「ATOK Passport[プレミアム]」に一本化すると発表した。同社は発表当日から新プランの提供を開始した。
日本のPC総合ニュースサイトのPC Watchは、同社が2018年にはすでに、ATOKの買い切り版を廃止して月額・年額制のサブスクリプション「ATOK Passport」へ移行していたと指摘。統合前は月額660円の「プレミアム」と月額330円の「ベーシック」の2プラン構成だったが、今回の下位プランの廃止で、ベーシックユーザーは月額料金が実質2倍に跳ね上がる。
プレミアムプランは料金据え置きのままだが、生成AI対応などの新機能が不要なユーザーからは、倍額への望まぬ値上げに不満の声が漏れる。不要と判断していた上位機能を抱き合わせで押しつけられ、月々の支払いが倍になる形だ。
ジャストシステム広報はAI新機能「ATOK MiRA」などの機能強化を理由に挙げた。あくまで「提供価値に見合う商品ラインナップの見直し」だというのが、公式の説明である。
カイルは日本ユーザーの救世主になるか
これと対照的なのが、今回のマイクロソフトの動きだ。
日本市場に現れたコパイロット キーボードは、完全無料だ。追加料金もサブスクリプションも一切かからない。
変換性能は、新たにコパイロットの技術を導入。従来の日本語入力システム「マイクロソフトIME」では、新語を打とうにも変換候補に現れず、ユーザーが手動で辞書を書き換えるしかなかった。ウインドウズ・ブログが解説するように、コパイロット キーボードならば、ユーザーはその手間から解放される。
乗り換えにともなう負担も軽い。マイクロソフトIMEのユーザー辞書(独自に教え込んだ変換候補)も取り込むことができ、登録済みの単語や変換のクセをそのまま引き継げると、同社は説明している。
「多くの皆さんに『カイルを出してほしい』とご要望をいただいていました。その声に、ようやくお応えすることができました」
カイルの復活を伝えるウインドウズ・ブログの一文である。「ようやく」の一語に、ユーザーの声を聞き続けた歳月がにじむ。
かつては「お前を消す方法」と検索され、お節介が敬遠されたカイル。滑らかなアニメーションになって復活した今、日本を誤変換から守る救世主となるだろうか。
どれほど邪険にされても、日本のユーザーの元に返ってきたカイル。精度の向上した日本語変換を無料で導入するついでに、約19年ぶりの再会でノスタルジーに浸るのも悪くないかもしれない。


