「最悪の発明」でもファンは愛し続けた
マイクロソフトの広報担当も、しゃれた反応を見せた。
米テックメディアのヴァージによれば、同担当者は、「クリッピーは2001年から職場復帰を狙い続けており、今回のギットハブへの登場もその試みの一つでした。努力は評価しますが、チームズへの導入は予定していません」とコメント。退場したキャラを「元社員」に見立てるユーモアを見せた。
ちなみにこのステッカーは、ブランドチームによりその日のうちに削除される憂き目に遭っている。だが削除までに、ギットハブ上では実に1900件以上の「いいね」が集まった。マイクロソフトが封印しても、ファンの愛着までは消せなかったのだ。
米タイム誌が2010年に発表した「最悪の発明50選」にまで名を連ねたクリッピーだが、年月とともに風向きは変わった。パソコン黎明期における微笑ましいマスコットとして再認識され、マイクロソフト自身も廃止後のマーケティングにクリッピーをたびたび再登場させてきた。
象徴的な出来事が、2021年の一件だ。業務ソフト「マイクロソフト365」の公式ツイッターが、「いいねが2万件に達したらペーパークリップの絵文字をクリッピーに差し替えます」と呼びかけると、ファンが殺到。「圧倒的な人気の要望」に応える形で、クリッピーは公式の絵文字として復活した。
嫌われ者だったお節介キャラは、いつしかネットのノスタルジーの対象に。愛情を持ち続けたユーザーが、引退したキャラクターを呼び戻した格好だ。
失敗をユーモアに変えるマイクロソフト社員
マイクロソフトのキャラクター愛は、デジタルを飛び出し、現実のプロダクトとしても自虐的な笑いを振り撒いている。
2025年、マイクロソフトがウインドウズXPをあしらった限定版クロックスを準備しているとの情報が、求職・キャリア用SNSのリンクトイン上で一気に広まった。現・元社員たちが社内ストアのスクリーンショットを共有したのが発端だと、英ITニュースサイトのレジスターは伝えている。公式発表はまだなかった。
同社にはかつて「ウインドウズ アグリー セーター(醜いセーター)」と銘打った自虐グッズを嬉々として売り出した過去もある。黒歴史を笑いに変えるユーモアセンスは、もはやお手の物だ。
スクリーンショットに映るシューズには、ウインドウズXPの壁紙で知られるあの緑の丘陵の壁紙「ブリス(Bliss)」を模した、何とも言えないデザイン。そこに、クロックスの通気穴にはめ込むカスタマイズパーツ(ジビッツ)として、クリッピーやインターネット エクスプローラーのアイコンが踊る。
ストアには、クリッピーのグッズのほか、インターネット エクスプローラーの「e」型のアイコン、ウインドウズのマウスカーソルといった、往年のウインドウズユーザーの頬を緩ませるグッズがずらりと並ぶ。
ノスタルジーを醸すと同時に、当時のパソコン環境の今ひとつ垢抜けない空気感を絶妙に再現したアイテムだ。
