世界に認められた日本の酒造り
八海醸造によると、業務資本提携のもと、「SAKE」造りを技術面からサポート。「現地の水と米を使うこと」「その土地の蔵人の手でつくること」「そのSAKEが現地の人々に飲まれ、愛されること」を信条に、ニューヨーク市北西部・キャッツキル山地の極軟水を採用するなど、素材も厳選しているという。コメはアメリカで最も品質に秀でるとされるアーカンソー州産の山田錦などを使用している。
国内消費の伸び悩みを逆手に取るかのように、世界市場に活路を見いだした日本式の酒。今や海外でも造り手たちが育ち、現代風の新たなスタイルを作り出そうとしている。
日本酒への熱視線は、数年前から世界的に高まっていた。象徴的な出来事のひとつが、文化遺産への登録だ。
ユネスコは2024年12月、パラグアイ・ルケで開いた委員会で、日本の伝統的酒造りを「人類の無形文化遺産」に登録。
ユネスコ日本政府代表部の加納雄大大使はAP通信の取材に応じ、「酒は神からの贈り物とされ、日本の社会的・文化的行事に欠かせない」と語り、日本人の酒への向き合い方を説明している。
平安時代から続く伝統
原料は米、水、酵母、麹のたった四つ。だが製造は簡単ではなく、蒸しから搾りまで約2カ月を要する。その歴史は千年に及び、11世紀に書かれた『源氏物語』にはすでに日本酒が登場する。
国連によると、ユネスコのオドレー・アズレー事務局長(当時)は同委員会で、「遺産は(過ぎた時代のものである)民間伝承とはほど遠く、時代に封じ込めらてもおらず、今日の現実から乖離してもいない。今まさに生きており、必要とされているものだ」と、遺産を広める責任の重さを語った。
いまも息づく千年の営みである酒造りは、まさに事務局長が説く無形遺産の姿を体現していると言えよう。
世界的に日本酒の知名度が向上するなか、山口県の山あいに、SAKEの海外展開に勤しむ先駆者がいる。
旭酒造(当時。昨年、獺祭に社名変更)の桜井博志会長は、縮小する国内市場を背景に、世界への道を積極的に切り拓いた経営者だ。

