日本酒でフレンチに華を添える
日本酒の業界団体は今、ワイン業界との連携も進める柔軟な姿勢を見せている。日本酒造組合中央会は2022年、国際ソムリエ協会(ASI)と提携を結んだ。
同会のプレスリリースによれば、ソムリエコンクールや若手ソムリエ教育プログラムへの参加、および受賞者の日本招聘を通じ、高級レストランなどファインダイニングへの日本酒浸透を図るという。
蔵の敷地の片隅から料理学校、そして国際的なソムリエ団体に至るまで、日本の酒を語れる人材を増やそうと、各界の担い手たちが動き出している。
造り手の裾野が広がったいま、次の問いははっきりしている。和食以外の食卓で、どう選んでもらうか。
サリバン氏は、ワインやビールより単価の高いSAKEをメニューに加えるだけで客単価は上がると、ブリュバウンドの取材で語った。日本文化への共感だけではなく、収益の観点から数字で説いて店のメニューに加えてもらう、強かな戦略だ。
旭酒造も、日本料理の枠組みを超えて活路を見いだそうとしている。ミシュラン三つ星店をフランス国内で2軒構える仏料理界の巨匠、ヤニック・アレノ氏とのタッグだ。日本酒と旬の野菜を軸にしたレストランをフランスで開く計画だと、ワールドフォリオは伝える。フランスに新たな蔵は建てないが、フランス料理が並ぶテーブルの上で、日本酒の居場所をつくる作戦だ。
海外で日本酒が直面している壁
桜井会長が掲げる目標は明快だ。和食以外の料理にも合う酒として、日本の酒を広めること。ニューヨーク・タイムズには、「難しい挑戦だ」と認めながらも、伝統的な酒器ではなくステムグラス(脚付きグラス)で提供するなど独自の工夫を示す。見慣れた形のグラスに注がれれば、ワインの並ぶ食卓にも自然と溶け込むだろうか。
ただし、まだ文化的な壁はある。ワールドフォリオが指摘するように、アメリカではいまだ日本酒やSAKEは「熱燗専用」との認識が根強く、冷やして飲まれることは一般的ではない。
欧州では蒸留酒との混同が根強く、独立した立場を確立できていない。フレンチやシーフードとも相性が良いことはまだ広く知られておらず、周知に課題が残る。ただし、裏を返せば開拓の余地はそれだけ大きいということでもある。

