「負けない取引」キャリートレードの仕組み
次に、金利差を動機として生まれる為替の取引である「キャリートレード」について、お話ししたいと思います。
たとえば、①米国の金利が高止まりしていて、日本との金利差が大きい、②今後も米ドルが対円でさらに強くなる可能性が高い、という状況がしばらく続くと仮定すれば、どのような為替取引を行えば収益を上げられるでしょう?
結論から言えば、「低金利の通貨(円)を調達して、高金利の通貨(米ドル)で運用する」という取引を行うことが合理的と考えられます。
上記の仮定の場合、まず円でお金を借りて、それをドルに替えます。ドルで運用すれば、円で運用する時より、高い利息収入が得られるはずです。
さらに、その運用中にもドルが対円で強くなっていけば、最終的にドルを再び円に戻した時には、高い利息収入に加えて、為替の利益も得ることができます。
この取引は、「円キャリートレード」と呼ばれ、日本の超低金利が続く間には「負けない取引」として、極めて多額の取引が行われたと考えられ、円安の要因の1つと言われてきました。
ただ、円キャリートレードは、「投機的な取引」もありますが、その全てがそうであるとは限りません。「ドル高はまだ続く」「日米の金利差はなかなか縮まらない」という予測をしている長期投資家も、このような行動をとる可能性があるからです。
外国銀行在日支店の本支店勘定も参考に
ここでキャリートレードの実情をデータに語らせたいのですが、残念ながら円キャリートレードの額を示すデータはありません。定義がやや不明確なのと、先ほど述べたように、取引の動機を把握するのが困難なためです。
ただ、不正確であることを承知で、時折近似値として参照されるものを紹介します。
外国銀行の日本支店が本国の本店に送金した額を示す「本支店勘定」(資産)というデータがあります。このデータをグラフにしてみると、2022年3月のFRBの政策金利引き上げ開始後に金額が急増していることが分かります。(図表2)
このデータとキャリートレードの関連性に関しては、さらなる分析がなされることを期待します。

