円高・円安と経済状況はどのような関係か。元財務省審議官でDeNAチーフエコノミストの大矢俊雄さんは「円高は日本経済を停滞させ、経済の停滞が続くと円安、という常識は必ずしも正解ではない。実際、バブルが崩壊した90年代、円は当時の史上最高値である79円75銭を付けている」という――。

※本稿は、大矢俊雄『教養としての為替』(かんき出版)の一部を再編集したものです。

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データで見る円高・円安と日本経済の関係

これまで、しばしば「円高の時期には日本経済は停滞する」と言われてきました。

その理由としては、円高になると、日本の主要産業である自動車産業などの輸出に不利に働くこと、などが挙げられてきました。実際、円安になると日本の株価が上がる傾向にあることも確かです。

ここでは、円高の経済への影響をデータで検証してみたいと思います。

用いるのは、ドル円レートと、内閣府が公表している「景気後退期」を示したグラフです(図表1、グレーの部分が景気後退期)。

グラフが上に行くほど円安で、下に行くほど円高になります。

【図表1】ドル円レートと景気後退期

これを見ると、景気後退は、必ずしも円高が進行した場合だけに起きているわけではありません。特に、1997~99年と2001~2002年など、円安がピークの時にも生じていたことが分かります。

また、「景気後退期」には、バブルの崩壊(1991~93年)やアジア通貨危機(1997~99年)、リーマンショック(2007~2008年)等、円のレートの強弱が引き起こしたとは考えられないものも多く起こっています。

為替レートの変動と景気後退の関係で、どちらがどちらを引き起こしたのかの分析は簡単ではありません。少なくとも、経済にショックをもたらす事象が起こった場合、為替の急激な変動が多いことは、このグラフから見て取れそうです。

その結果として、急激な為替の変動が経済にさらに深刻な影響をもたらす可能性がある、ということは言えるかもしれません。