ときここちによる卵かけご飯の魅力

さて、取材中に「ときここち」を使ってといた卵の「卵かけご飯」をごちそうになった。ときここちの先端で黄身の数カ所をつついて穴を開け、あとは左右に振るだけでよく混ざるという。「コツは勢いよくやること」という利根さんの助言に従って手を激しく動かすと、卵がすんなり混ざっていく。ときあがった生卵は、白身がまだらに残ったりせず、黄一色でサラサラの状態に。

これをご飯にかけると、卵はお椀のすみずみまで浸透し、食べ終わるまでずっとジューシー。箸でといた普通の卵かけご飯は一部が濃かったり一部に卵が行き渡らなかったりするものだが、これはまさに「ときここち」だからこそなせるわざだ。

「ときここち」で混ぜた卵は、黄身と白身が渾然一体となってサラサラなので、ご飯全体にしっかり混ざる。
写真提供=トネ製作所
「ときここち」で混ぜた卵は、黄身と白身が渾然一体となってサラサラなので、ご飯全体にしっかり混ざる。

ちなみに「卵かけご飯専用」と銘打たれているが、他のことにも使える。利根さんのおすすめは、卵を使った料理ならフレンチトーストや茶碗蒸し、だし巻き卵など。卵を裏漉ししなくても使えるので便利だという。また、卵以外でも、ココアと牛乳、プロテインと水、納豆などを混ぜるときにも非常によく混ざるそうだ。

お客様からの手紙が何よりの宝物

今でこそ知名度・売上共にヒットしたといえるが、「発売後どれくらいから手応えを感じましたか?」と聞くと、意外な答えが返ってきた。

「実は自分たちでは『ヒット商品』という感覚はあまりありません。ただ、ひとりでも多くの方に使っていただきたいという思いで、今も1本1本、丁寧に作り続けています」と利根さん。

社長のこの思いは消費者にも届いているようである。商品を使った感想が書かれたハガキや手紙がどっさり届いている。その1枚1枚に込められた消費者の熱量がすごい。「苦手だった白身が初めて食べられるようになりました」「料理が楽しくなる」「もっと早く出会いたかった」などなど。高齢男性から「あっぱれじゃ!」とのお褒めの言葉もあった。

これらのハガキから伝わってくるのは、製造者に感謝や喜びの気持ちを伝えるところまでいかないと気が済まないという消費者たちの感動である。トネ製作所一同、このハガキ・手紙をとても喜んでいて「宝物です」と話す。たしかに板金の下請けでは経験できないことだろう。