専門家の警告を無視し、塩問題を放置

だが、このダムの濫造こそが、川を干上がらせ、湿地を消滅させ、皮肉にも現在の深刻な水不足を招いた。その象徴的失敗が、カールーン川のゴトヴァンド・ダムだ。建設当時、専門家たちは「建設予定地に巨大な塩層があり、水質を破壊する」と警告したが、革命防衛隊と太いパイプを持つ業者は建設を強行した。

完成後は、予言されたとおりに塩が川に溶け出し、下流の広大な農地が壊滅した。総工費は当初見積もりの2倍、33億ドルまで跳ね上がった。

驚くべきは、この問題が10年以上放置されていることだ。なぜ解決されないのか。それは、問題を解決してしまうと「次の予算」がつかないからだ。水危機が続くことは、革命防衛隊という水マフィアにとって、「新たな対策事業」という利権を生むためのビジネスモデルなのである。

第三の装置が「通貨」だ。1979年の革命時、1ドルは約70リアルだった。それが2026年初頭には、1ドル=140万リアルを超えた。40年強で通貨価値は「2万分の1」にまで蒸発した計算だ。政権はこれを「米国の制裁による経済戦争のせいだ」と強弁する。

確かに制裁の影響はある。しかし、制裁が緩和されていた時期でさえ、リアル安は止まらなかった。真因は、革命防衛隊による「経済の空洞化」にある。石油収入の収奪、非効率な独占、密輸の制度化、そして規律を欠いた放漫財政が、イランという国家の経済的基礎体力を根本から蝕み、通貨の信頼を破壊したのだ。

石油の売上を世界中のテロ組織へ送金

革命防衛隊の幹部や体制関係者は、現世的な欲望に忠実だ。

彼らは長年、ドバイの豪奢な不動産に資産を隠匿してきた。国際調査報道「Dubai Unlocked」によれば、7000人を超えるイラン関係者が、ドバイに総額約70億ドル相当の不動産を保有していることが判明している。幹部の子女がカリブ海の「ゴールデンパスポート(投資市民権)」を取得し、偽名で数十億円の物件を買い漁る事例も報じられている。

ドバイマリーナ
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また、革命防衛隊にとってドバイは中東における「マネーロンダリングの中枢」である。中国に秘密裏に売却した石油の代金、すなわち人民元を、ドバイの両替商(サッラーフ)と非公式送金ネットワーク「ハワラ」を駆使してドルに変換し、世界中のテロ組織へ送金する。

ドバイは、いわばイランの石油収入を「浄化」し、テロの兵糧へと変える「巨大な洗濯機」なのである。