自分や組織の本当の強みは、どうすれば適切に把握できるのか。アート思考キュレーターで起業家の若宮和男さんは「個人や組織の『自分』探しのワークショップをする際に難しいのが、『ありたい』『あるべき』を捨てることだ。『いい』ものだけを残していくと丸くて人と『おなじ』ような形しか残らない一方で、『黒歴史』には『歪さ』のヒントが潜んでいる」という――。

※本稿は、若宮和男『超・アート思考 AI時代の人間の創造性とは何か?』(実業之日本社)の一部を再編集したものです。

群衆の中から目立つ人
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「肩書き」「看板」を一度外す

企業のコアバリュー策定を含め、個人も含めて「自分」探しのお手伝いをする機会も多いのですが、その経験から「自分」を隠す罠が3つあることが分かってきました。

① 大きいものに隠れる
② 欠損と考える
③ 当たり前だと思う
① 大きいものに隠れる

「大きいもの」とは個人や企業が「自分」の特徴だと思い込んでいるものです。個人で言えば自己紹介の第一声に言う「肩書き」であったり、企業の場合には「看板」となる事業だったりします。

なぜそう思い込むか、というと、ボリュームが一番大きく、周りからもそう言われる頻度が多いからです。刷り込みが繰り返されるうちに、それが「自分」だと信じてしまうのです。

たとえば、女性は結婚すると「○○さんの奥さん」や「△△ちゃんママ」と呼ばれ自分の名前で呼ばれなくなるという話がありますが、それが繰り返されるうちに「自分」を見失ってしまいます。企業でも売上の多い主力事業が目立つために代名詞となることが多いのですが、「周りからそうみられている」というのは最も外面的な特徴だということです。

それはいわばラベルにすぎません。太陽が出ていると星がみえないように、「大きなもの」は皮肉にも「自分」をみえなくさせてしまうのです。大きなものに隠れている「自分」をみつけるためには、「大きなもの」を一度外すことが必要です。