お得意さまでも優遇なし

ブッキング・ドットコムはニューヨーク・タイムズ紙に対し、「代替宿を案内したがゲストが断った」と説明したが、アンナさんの説明と食い違う同紙の追及を受け、同社はようやく謝罪に転じた。

このホテルのオーナーのカウシク・パテル氏とチャンドレシュ・パテル氏には、米労働省から残業代未払いおよび給与記録の不保持を理由に提訴され、同意審判で83人の従業員に72万ドル(約1億1400万円)超の未払い賃金・損害賠償を支払うよう命じられた過去がある。

ブッキング・ドットコムには、常連客を厚遇するロイヤルティプログラム「ジーニアス」がある。

最上位のジーニアス・レベル3にまで到達したリピーターなら、いざという時も手厚い対応を期待できるだろうか。現実はまるで違うようだ。

テレグラフによると、イングランド北部の都市リーズで4泊543ポンド(約11万6000円)のアパートを予約した利用者が、到着後にキーコードを受け取れず、部屋に入室できずに立ち往生した。

コードが届いたのは、もうすぐ日付も変わろうという午後11時になってのこと。これ以前にやむなく別の宿を手配したことから、約109ポンド(約2万3400円)の持ち出しになった。

翌朝、利用者がようやく部屋に入ると、シーツやタオルは汚れたまま。ゴミ箱は前の利用者のゴミが残ったままで、部屋には食べ残しが放置されていた。

メディアが報じるまで動かない

その利用者は惨状の写真を同紙のコラムニストに送り、部屋を去ったという。「ジーニアス」の最上位会員だったが、当初は補償を得られなかった。

コラムニストが介入すると、ブッキング・ドットコムは対応を一変させた。宿泊費543ポンドを全額返金し、預かり金100ポンド(約2万1400円)の返還もオーナーに求めると回答した。

ガーディアン、ニューヨーク・タイムズ、テレグラフの3紙報道から、同じパターンが見えてくる。個人が訴えても放置されるが、記者が介入して初めて、返金や掲載の一時停止に動く構図だ。

ジャーナリスト
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ブッキング・ドットコム自体は物件の出品者ではなく、仲介者を自任する。責任の所在が曖昧になりやすく、外部の圧力なしには動かないことがある。