わずか15分で偽物件を掲載できた
なぜ架空の物件がプラットフォームに掲載され、旅行者はそれと知らず予約してしまうのか。英消費者情報誌『ウィッチ?』が、独自の実験でその答えを突き止めた。
同誌は架空の貸し別荘をブッキング・ドットコムに登録してみた。身分証の提示は一切求められなかったという。わずか15分足らずの作業で、掲載は完了した。
同じホテル・民泊予約サイトでも、大手エアビーアンドビー(Airbnb)やエクスペディア(Expedia)傘下のバーボ(Vrbo)で同誌が登録を試みた際には、運転免許証やパスポートの提示が求められた。ブッキング・ドットコムの場合は、事業者の身元をチェックせずに掲載しているということだ。
しかも同社では、物件の説明文がアルゴリズムで自動生成され、25言語に翻訳される。正規の物件も詐欺的な物件も同じアルゴリズムで説明文が作成されるため、外見だけでは本物と偽物を見分けるのは難しい。
低評価レビューに気づきにくい設計
掲載自体を防げなかったとしても、実際の予約者の声がレビューに反映されていれば、危険な物件を見抜きやすいはずだ。だが、なぜ悪質なホテルに次々と予約が入ってしまうのか。
同誌が検証したのは、モンテネグロの首都ポドゴリツァにある貸し別荘だ。総合スコアは10点中の6.4点で、これはずいぶんと低い数字だが、ブッキング・ドットコムは「快適」に分類している。
この貸別荘をデフォルトの「最も関連性が高い」順で見れば、まず「素晴らしい(9点)」「良い(7点)」という好意的な2件のレビューが目に入る。
ところが「新しい順」に切り替えた途端、直近12件中10件が「詐欺」「悪夢」という酷評だった。残りの2件は不自然な満点(10点)を付けており、同誌は(施設関係者が書き込んだなど)不審なレビューの可能性があると指摘している。
指摘に対しブッキング・ドットコムは当初、「並び替えればよい」と取り合わなかった。利用者に責任を押しつける対応だ。同誌の働きかけを受け、ようやく表示の改善を約束した。
ところが、約束は果たされていない。昨年12月時点でもレビューはデフォルトで「最も関連性が高い」順のままだと、欧州のニュース専門放送局のユーロニュースが確認している。偽物件の掲載を防ぐ審査も、利用者に警告を届けるレビューも、どちらも機能していない。

