「結婚前のすり合わせ」で確認すべきこと
今回の事例を振り返ると、結婚前にすり合わせておくべきことが、いくつかのテーマに整理できる。
最初のつまずきは、住まいの選び方だった。家事分担や親の介護、結婚式については事前に話していても、結婚後に最初に訪れる現実的なイベントとして「どこに住むか」を相談していなかった。エリアだけでなく、家賃の予算、賃貸か将来的な購入か、初期費用の捻出方法まで、具体的な数字で擦り合わせておくべきだっただろう。
次に「結婚後の仕事」である。彼女が働き続けるのか、専業主婦を望むのか、子どもができたらどうするのか。今回は夫側の考え方にブレがあったが、そもそも見落とされていたのが、互いの正確な年収を開示することだ。
今回は、夫が妻の所得を把握しないまま、あるいは把握しようとしないまま生活費の分担を口にしたことが、すれ違いの発端となった。仕事の希望を語り合うなら、その前提となる収入も正直に共有しておくべきだ。
さらに、独身時代の生活リズムや週末の過ごし方を、結婚後どこまで改める意思があるのかも確かめたい。毎週末にゴルフに行き、定期的に飲み歩くような生活では、夫婦で深い相談をする時間も持てない。
そして相手の金銭感覚を測る格好の材料が、新聞やNetflixといったサブスクの負担割合だ。デートでは気前がよくても、月数千円の課金まで割り勘にしようとするなら、その感覚は結婚後も変わらない。
これらを具体的に話し合っておくことで、結婚に向かない「高年収・高学歴の地雷男性」を見抜くことができる。言い出しにくい内容があったとしても「ま、いっか」で進んでいくと思わぬ落とし穴に転落し、バツイチになる可能性があるのだから……。
「二人の時間」を優先できる人が幸せになる
結婚後も、自分の生活ペースは変えたくない、独身時代と変わらぬままでいたい。妻は妻で、自分の食いぶちはおのれで稼げばいい、と思っている自分勝手な結婚に向かない男性はいる。自分の趣味には、高い費用はいとわないが、二人の生活費は二人で割り勘と言い出す高年収男性と、家族としてやっていけるはずがない。
高級外車をファミリーカーに乗り換え、オーダースーツはユニクロに取って代わる。
出張の予定も、付き合いの飲み会の日程も、妻とスケジュールは共有する。早朝からゴルフや釣りに行くなら、妻には予定を事前に伝え、隣で寝ている妻を起こさぬようにベッドから抜け出す。
これが「結婚」という二人の暮らしだ。趣味に費やす時間やお金は、すべて自分のものだった独身時代とは違う。
そして彼女は、汐留のマンションを出て、一人暮らしに戻った。これからの生活の足しにと、ハリー・ウィンストンの指輪は売却した。数百万円の婚約指輪の買取価格は、わずか20万円だったという。


