止まらない台湾の若者の「中国離れ」

80%以上の香港人は今でも広東語を使用しているが、普通語の影響力は飛躍的に拡大している。香港返還前に普通語を使用すると中国人であることを理由に完全に無視されていたのが、現在では中国企業との取引や就職のために普通語を学ぶ香港人が増加している。

2015年に公開された映画『十年(Ten Years)』では、中国化しつつある10年後の香港の未来を暗いシナリオで描き、広東語の使用が禁止され普通語が公用語となった香港でタクシー運転手が直面する苦境を描いている。香港人の将来への不安と恐怖を象徴的に表現した作品として大きな反響を呼んだ。

シティアートスクエアで上映される映画『十年』
シティアートスクエアで上映される映画『十年』(画像=Wpcpey/CC-BY-3.0/Wikimedia Commons

香港人のアイデンティティに関する調査結果も興味深い変化を示している。2017年の香港返還20周年を控えた香港大学世論調査機関の調査によると、「中国人である」と思う人は20.9%、「香港人である」と思う人は37.3%となっている。「中国の香港人」と思う人が26%、「香港の中国人」と思う人は14%で、混合アイデンティティを選んだ人が40%であった。

2010年以降、香港人というアイデンティティの割合は40%前後を維持しており、これは香港人の反中感情の高まりを意味している。

中国との統一を望む台湾人は1割だけ

台湾においても同様の現象が観察される。台湾で頻繁に行われる世論調査によると、統一を望む割合は減少傾向にある。2018年12月の台湾国立政治大学選挙研究センターとアメリカのデューク大学アジア太平洋安全研究センターの共同調査では、「統一を望む」比率が12.1%、「現状維持」70%、「独立」24.1%となっている。

1991年には「統一を望む」比率が45.3%だったのが、2016年には14.9%まで減少している。この数字は台湾人の意識が劇的に変化したことを物語っている。

台湾人のアイデンティティも大きく変化している。2016年12月の国立政治大学選挙研究センターの調査によると、自分を「台湾人だ」と思う人が58.2%、「台湾人であると同時に中国人でもある」と思う人が34.3%、「中国人だ」と思う人は3.4%となっている。

自分が「台湾人だ」と思う人は1991年の46.4%から2017年には60.6%に増加し、一方で「中国人だ」と思う人は1991年の25.5%から2002年には9.2%に激減し、2010年以降は常に3~4%を維持している。

このようなアイデンティティの変化は、特に若い世代において顕著に表れている。彼らは中国化の過程を直接体験し、その中で自らの文化的ルーツと将来への不安を同時に感じているのである。この世代は、中国との統合が進むほど、自分たちの独自性が失われていくという危機感を抱いている。