我ら客が求めるのは「一番得で楽な方法」だ

切符を買っていた時代から、交通系ICカードのタッチに代わり、そのタッチすら消えようとしている。

鉄道会社は、ただ鉄道を運行するだけにとどまらず、ユーザーのライフスタイルに寄り添う「サービス業」への転換を図っているが、多彩なこうしたサービスは「誰のためのものか」という視点も忘れずにいたい。

駅のラッシュアワー
写真=iStock.com/Juergen Sack
※写真はイメージです

交通系ICにしろ、その他決済サービスにしろ、鉄道会社側にはコストの削減や顧客データの囲い込みという経営上の大きなメリットがあるだろう。一方で、ユーザーにとってベストなのは「一番楽な方法」。なんなら「一番お得で楽な方法」がもっとも理想の形だ。

確かに、顔認証はとても楽だ。あれを一度経験すると、タッチに戻れなくもある。しかし、顔認証を利用するには新たな登録など、ユーザーにとっては少なからず手間が発生する。「登録が面倒だからSuicaのままでいい」あるいは「クレカタッチでいいよ」と言われてしまえばそれまでだ。

クレジットカード決済が広がりを見せるなか、交通系ICカードはますます土俵際に追いやられると筆者は考える。「鉄道に乗れる」というだけでは、ユーザーを繋ぎ止めることはできない。自発的に「これを使いたい」と思える仕掛けが必要だ。

「顔認証で通れば運賃が安くなる」「乗れば乗るほど日常生活がお得になる」といった、ほかの決済サービスには真似できない、強烈に魅力的なサービスを期待したい。改札の常識が変わりゆく今、鉄道会社の真価を問う戦いは、これからが本番だ。

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