そこで私は、Kくんの退路を断つことにした。「3カ月の猶予を与える。その間に結果を出さなければ、辞めてもらう」と宣告したのだ。
3カ月は完全歩合給。その代わり必要経費として100万円を与えた。
さらに、私が開拓した顧客のリストを渡し、リストにあるお客さまを片っ端から訪問するよう指導した。
最初の1カ月が終わってみると、Kくんは何と500万円の売上をあげていた。クビという強制力が、行動を生んだのである。
行動すれば、何らかの結果が出る。失敗もあるかもしれないが成功もある。その成功を自信にすれば、それが次の挑戦への意欲になる。
著名な投資家であるウォーレン・バフェット氏が、マイクロソフト共同創業者のビル・ゲイツ氏との対談でこう話しているのを読んだことがある。
「才能のある人々がその能力を発揮できないのは、習慣や性格、考え方が邪魔をして合理性を発揮できないからである」
成功する人には、成功する人の習慣が身についている。一方で、成功できない人は、成功できない人の習慣のまま、日々を漫然と送っている。
Kくんは、強制力によって、新しい習慣の最初の一歩を踏み出した。
いきなり大きな挑戦をするのは勇気がいるだろう。もしいま、あなたが立ち止まっているのなら、まずは小さな挑戦からはじめてみることだ。
それが、とてつもない報酬への第一歩になるのだ。
【年収1億を生む黄金則】行動を変えるために、ときには強制的に退路を断つ。
(※『プロフェッショナル ミリオネア』(プレジデント社刊)第1章「考える、失敗を積む」より)