人には強みや得意分野がある一方で、弱みや不得意分野がある。
外資系企業で40数年にわたり社長職などを歴任、現在も複数の企業でアドバイザリーボードメンバーを務める新将命さんの話で、印象に残っているのが次の言葉だ。
「経営者には、バカと利口と大利口がいる」
「バカ」は自分の得意、不得意を知らない人、「利口」は自分の得意、不得意を知っている人、「大利口」は自分の不得意を補う方法を知っている人。
大利口で、わかりやすい例としては、本田宗一郎と井深大がいる。
ものづくりにおいてカリスマ的な才能をもつ本田や井深を、財務や営業の面で支えたのが、本田にとっての藤沢武夫であり、井深にとっての盛田昭夫だ。
優れた右腕がいたからこそ、カリスマは才能を開花することができたのだ。
大利口になることを求められるのは、経営者に限らず、プロジェクトを任されているリーダーでも同じだ。会社でも、ある程度以上のポジションになると、背負っている責任や数字の大きさに比例して、どうしても不得意な仕事も増える。
ところが、そちらに時間とエネルギーを奪い取られると、自分がやるべき仕事に集中することができず、成果があがらないばかりか、疲弊してしまう。