一流のプロフェッショナルたちは、何を切り捨て、何に力を注ぎ、どのようにしてチャンスをモノにしてきたのか。有限の時間を効果的に活用するためのノウハウと哲学を公開。

横田尚哉さんからのアドバイス

人に仕事を振るときには、まず相手の能力を見極めなくてはいけません。ファンクションで伝えればわかる人と、形で伝えないとわからない人では、仕事の頼み方を変える必要があるからです。

ファンクションで伝えられる相手なら「取引先を納得させるプレゼン資料をつくってほしい」の一言でこちらの意図が伝わるかもしれません。しかし、形で伝えなければわからない相手に同じ指示をすると、まったく見当違いの成果物が返ってくる恐れがあります。形で伝える必要のある相手には、「取引先に訴求したいポイントは○○と××。これらをそれぞれ図解して、データを添えた資料をつくってほしい」と細かく伝えるべきです。指示を出す側はファンクションで伝わることを期待しがちですが、それは勝手な願望。相手の理解度を確認しながら指示を伝えたほうがいいでしょう。

ファンクショナル・アプローチ研究所 代表取締役 横田尚哉
1964年生まれ。米国GE社で生まれた改善の技術を応用。10年間で総額1兆円の公共事業の改善に乗り出しコスト縮減総額2000億円を実現。著書に『ワンランク上の問題解決の技術』『ファンクショナル・アプローチ入門』ほか。

人に仕事を頼めば、待ち時間が必ず発生します。せっかく人の力を借りて自分の時間を増やしているのに、待ち時間対策を怠り、逆に自分の時間を奪われるようでは本末転倒。待ち時間に左右されることなく、自分のペースで仕事を進められる工夫をすべきです。

私は頼んだ仕事が形になるまで、気にしないように心掛けています。例えば作成を頼んだ資料が順次送られてきても、一定量溜まるまでは手をつけずに放置。待ち時間を減らそうとして1枚出来上がるたびにチェックしていたら、作業が途切れ途切れになり、かえって稼働率が落ちます。待ち時間も、まとめれば別の作業に集中して費やすことが可能。「仕事、どこまで進んだ?」と途中でチェックを入れる行為は、むしろ非効率です。

ただ、このやり方には条件があります。それは仕事を頼む前に段取りを煮詰めて、一部を加工しておくこと。そのプロセスまでできていれば、待ち時間を熟成期間として捉え、安心して仕事の戻りを待つことができるはず。逆にいうと、人に頼んだ仕事の途中経過が気になるのは、段取りがいい加減だから。くれぐれも生煮えのまま人に仕事を頼まないことです。