時間の達人は、夢をかなえる達人でもある。夢の実現には目標管理や行動計画が必要不可欠であり、それらは時間管理のスキルによって支えられている。ただし、時間管理さえできれば夢が近づくというわけではない。達人たちが夢をかなえた背景にも、時間管理術だけでなく、頑なに守り続けてきたルールや習慣がきっとあったはずに違いない。
前職時代に、入社2年目にして社内初の営業年間MVPを獲得したり、営業マネージャーとして、社内で唯一の連続60カ月達成記録を樹立するなど、さまざまな記録を打ち立てた、クラ・モチベーション代表取締役の倉持淳子さんは、「楽しくないこと、自分の良心に反することはしない」というルールを自分に課しているという。
しかし営業の場合は、ときには良心が痛むような営業トークを求められる場面もあったはず。そのようなときはどう対応するのか。
「たしかに、契約をいただくために、確証のないまま『大丈夫。私に任せてください』と大風呂敷を広げたことはありました。でも、本当に実現させればウソをついたことにならない。大風呂敷を広げたときには、あらゆる手段を使って約束を守ればいいんです。楽しくないことをやらなくてはいけない場合も同じ。全力で楽しくする工夫をして、本当に楽しんでしまえば、ルールを破ったことにはなりませんから(笑)」
一般企業に勤めるサラリーマンでありながら、SNS上で7000人規模の異業種交流コミュニティを運営する「出逢いの大学」学長の千葉智之さんは、「人に期待しない」ことをつねに心掛けているという。いかにもクールに聞こえるが、その裏にあるのは、自分の人生は自分でコントロールするという強い意志だ。
「人に期待をすることは、自分でやるべきことを放棄して、人に委ねることと同じ。それを自分に許すと責任転嫁につながって成長しない。自分の人生なのだから、人任せにせずに自分でコントロールしたいのです」
一方、ファンクショナル・アプローチ研究所代表の横田尚哉さんが守り続けているルールは何だろうか。
「後生大事にしているルールはないですよ。行動の基準となるのはモラルです。モラルから大きく逸脱した行動を規制するのがルールであり、ルールに沿った行動をするだけでは何の自慢にもならない。それより自分が大切にしたいモラルから離れていないかどうかで、自らの行動を律するべきです」
ちなみに横田さんが大切にしているマイ・モラルは、「30年後の子供たちのために輝く未来を遺せるかどうか」の一点だとか。ルールは時代によって変わる可能性があるが、モラルは一生モノ。それに軸を置いてこそ、夢を実現する行動を地道に続けられるのかもしれない。