一流のプロフェッショナルたちは、何を切り捨て、何に力を注ぎ、どのようにしてチャンスをモノにしてきたのか。有限の時間を効果的に活用するためのノウハウと哲学を公開。

千葉智之さんからのアドバイス

「出逢いの大学」学長
千葉智之
1973年生まれ。大手建設会社を経て、大手総合情報メディア企業に転職。一介の会社員でありながら、のべ会社員数7000人の異業種交流コミュニティをSNS上で主催するコネクター。著書に『出逢いの大学』『やる気の大学』。

やる気は「出る」ものではなく、「出す」ものです。もちろん、うれしいことがあれば勝手にやる気が出るし、辛いことがあれば萎みます。これは人間として自然な感情です。しかし、自然に任せているだけでは仕事を効率的に進めることができません。

自然状態のやる気の波は不安定ですが、それをいかに振れ幅が小さく、周期が一定で、アベレージの高い状態へと導くか。それによってアウトプットは何倍にも増えるはずです。振れ幅をコンパクトにするためには、やる気が下がっているときに気分を切り替える工夫が必要です。例えば残業して気分が乗らないときは、さっさと切り上げて家に帰ったほうがいい。

エンスト状態に陥ったときにアクセルを踏み込んでも、エンジンが空回りしてやる気がますます失われていくだけです。早く家に帰って気分をリセットし、翌朝、小鳥のさえずりを聞きながら起きて出社したほうが仕事ははかどるはずです。

やる気のアベレージを高める仕組みとしては、ちょっと先の未来に楽しいことを仕込む方法はいかがでしょうか。この仕事が片付いたら奮発しておいしいものを食べにいくなど、楽しい予定が先に控えていると、自然にやる気が湧いてくるものです。逆に自分を追い込んでやる気を出す方法も効果的。僕は切羽詰まらないと行動を起こさないタイプなので、仕事にデッドラインをつけて、取り組まざるをえない状況を意識的につくっています。取りかかる前は面倒に思えた仕事も、いざやってみると気分が乗ってくるケースが多いですよ。

やる気の周期を一定に保つには、外的要因の影響をできるだけ排すべき。そのためには外的要因を無視するのではなく、むしろ自分のものとして捉える思考法が役立ちます。

例えば誰かのミスで仕事が滞ったとき、「あいつが悪い」と人のせいにすると、自分ではコントロールできないために気持ちが荒れてきます。しかし、「あの人に頼んだ自分が悪いのだから次回は別の人に」「説明の仕方がマズかった。次は工夫しよう」というように自分で解決可能な問題として捉えれば、必要以上に気持ちは波立たないはずです。