「労働者ならいいけど、移民は反対」

背景には国民の間に広がっている「反移民」感情がある。右派政党などが意図的に移民反対を煽っていることもあるが、多くの国民が「労働者としての受け入れは良いが、移民は反対」というムードになっている。

多くの日本人は「外国人は出稼ぎに来て、後は国に帰ってください」というスタンスが通じると考えているようだ。というのも1980年代にイラン人やブラジル人が出稼ぎに来てその後、多くが帰国した経験を知っているからだ。それを繰り返せばよい、というのだ。

だが、当時と大きく違うことがある。通貨の強さだ。当時の円はどの通貨に対しても強く、世界最強の通貨と言われた。日本円で給料をもらえば、自国通貨に両替したら驚くような金額になった。日本の給与は世界一と言われたのもこの頃だが、要は通貨が強かったのだ。

ところが今や日本円はどんどん弱くなっている。1990年代に1スイスフラン=100円を下回っていた日本円は、つい先日1スイスフラン=200円の最安値を付けた。通貨が強く物価が高いスイスでは、1スイス・フラン=100円でも、日本人が驚くような高物価に感じたが、今や日本円で考えると凄まじい。

傾いている円マーク
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「移民受け入れ」を前提とした制度設計が必要

チューリヒのマクドナルドのビッグマックセットは15.10スイスフランなので3000円。日本の都市部では830円程度だから3倍以上に感じる。それほどに日本の円は弱くなっているのだ。

それでも日本に働きに来てもらおうと思えば、先進国並みの給与を払うしかない。米カリフォルニア州の最低賃金は時給16.90ドル(約2680円)だし、ドイツの最低賃金も13.90ユーロ(約2580円)だ。

また、短期間で帰ることが前提では、その国の制度や文化を学ぼうとしない、という問題がある。つまり、定住できる資格を与えてはじめて長期に安定して働いてくれる本当の日本の労働者になってくれると考えるべきだ。一方で、長期にわたって外国人に定住してもらうためには、ドイツが義務付けているようなドイツ語の学習時間や社会ルールの習得など、日本居住者としての最低のルールを身につけてもらう制度設計が必要だろう。これは「移民受け入れ」を前提としなければできない。