空席があるのに客を入れられない
「テーブルは空いているのにお客さんを入れられないんです。外国人に働いてもらわないとサービスは維持できない。このままでは潰れかねません」
千代田区にあるレストランの支配人はこう嘆く。外食産業での人手不足はコロナ前からだったが、ここへきて深刻の度合いが増している。ところが、そこに追い討ちをかける政府の政策変更が起き、現場では戦々恐々の事態になっている。
農林水産省と出入国在留管理庁が、4月13日から外食産業で「特定技能1号」という資格で働く外国人の受け入れ停止を始めたのだ。「特定技能」は外国人労働者の在留資格制度の一つで、2019年にできた。建設や介護、外食といった人手不足の産業分野で、一定の専門性や技能を持った即戦力の外国人労働者を採用するための在留資格として急速に人数が増えている。
外国人の受け入れに関して、日本政府は以前から「移民制度は採らない」という立場を貫いている。従来多用されてきた「技能実習生制度」も「労働」ではなく「研修」という建前で長年使われてきたが、特定技能制度は正面から「労働力」として外国人を受け入れるための制度として作られた。
特定技能は「事実上の移民制度」
特定技能には「1号」と「2号」があり、1号は最長5年、在留することができる。さらに1号などを経験して熟練度を増した人を対象とする「2号」では、無期限の在留資格が得られ、家族を呼び寄せる事も可能になる。日本に長期にわたって定住することになるわけで、事実上の移民制度と言える。
すでに特定技能1号の在留資格で働く外国人は2025年11月末現在で37万5044人。政府は上限を設けているが、その数は80万5700人で、現在でも上限には達していない。ところが、分野別にも上限が設定されており、外食業は上限5万人。外食業で働く特定技能1号の外国人は昨年11月末時点で4万2396人だったが、今年2月末の速報では約4万6000人となっている。このペースで行くと5万人突破は確実なため、政府が4月13日以降の受け入れを停止したのだ。それ以降は申請しても不許可になっている。

