オハイオ州立大学のテリー・ぺティジョーン2世が、「あなたはどういうときに幸福な気分になりますか?」という質問紙調査をしたところ、男女とも圧倒的な1位は、「恋に落ちること」であったという。「宝くじにあたる」とか、「成功・名声を得る」とか、「美味しいものを食べる」などより、「恋に落ちること」のほうが、はるかに強い満足感をもたらすのである。
「人と打ち合わせをしているときには、タバコくらい我慢しろ!」と怒るのではなく、「相手がタバコを吸わないなら、たとえ灰皿が置かれていても、吸わないほうがモテるかもよ」のほうが、教え方としてはよいだろう。
説教をするときには、「どうせ、おまえなんかに言っても理解できないんだろうけど……」という態度が一番よくない。単に部下を侮辱するだけなので絶対にやめよう。どうせ理解してもらえないと思うなら、そもそも説教すること自体をやめたほうがいい。空気が読めない部下に腹を立てたからといって、それを部下にぶつけるのは、あなたのほうが大人げない。
説教をするのなら、「キミなら、わかってくれると思うんだけど」とか、「聡明なキミのことだから、もう気づいているかもしれないけど」という前提で話を進めたほうがいい。相手が受け入れることを前提にして話すからこそ、相手も受け入れてくれる確率は高まるのだから。
オーストラリアにあるニューサウス・ウェールズ大学のジョセフ・フォーガス博士は、こういうやり方を、“暗示的誘導”と呼んでいるが、あなたが「受け入れる」ことを前提にして話すからこそ、部下もそれを受け入れるような心理状態になるのである。
「相手にせっかく連れて行ってもらったんだから、そのお店の悪口を言っちゃダメだよ。そうすると、連れて行った相手も気分を悪くするだろう? まぁ、キミならもうわかっているかな。老婆心だったよな」というくらいの説教が好ましい。