<キッチンスポンジを使った食器洗いは、思いがけない形で環境負荷を与えていた:ルーシー・ノタラントニオ>
キッチンでスポンジを使って洗い物をする人
写真=iStock.com/brusinski
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日常生活ではごく普通のキッチンスポンジの使用が、環境に思いがけない影響を及ぼしているかもしれない――。そんな研究結果が発表された。

ドイツ・ボン大学の研究チームは、食器を洗う際にスポンジから放出されるプラスチック粒子の数を調べ、それが環境に与える影響を調査した。

その結果、スポンジで食器を洗う際には相当量のマイクロプラスチックが放出されることが分かった。しかし、環境に最も大きな影響を与えていたのはそうしたプラスチック粒子ではなかった。

実は食器洗いに伴う環境負荷の大部分は、水の使用に関係していた。

キッチンスポンジは以前からマイクロプラスチックの発生源かもしれないと指摘されていたものの、これまであまり研究が行われていなかった。そこで今回は環境に与える影響を評価する目的で、スポンジを使って食器を洗う際に放出されるマイクロプラスチック粒子の量を測定した。

日常的な食器洗いの習慣を把握するために、研究室での実験に加えて、ドイツと北米の家庭がボランティアで実験に参加。3種類のスポンジのうち1種類を普段の食器洗いに使ってもらった。

参加者はスポンジの使用状況を記録して、素材の損失量とマイクロプラスチックの放出量を判定するために毎回、使用前と使用後に重さを測定。これと並行して研究室では自動実験装置の「スポンジボット」を使った実験を行い、食器洗い中にスポンジにかかる機械的応力をシミュレーションした。

実生活で得られたデータと研究室での実験結果を組み合わせることで、シミュレーションだけでは把握できない実生活の状況下で放出されるマイクロプラスチックの量を推定することが可能になった。

実験の結果、食器洗い用スポンジは3種類とも使用中に素材が失われ、マイクロプラスチックが放出されていることが分かった。放出量はスポンジによって異なり、1人あたり年間およそ0.68グラム~4.21グラムだった。これまでの研究によれば、マイクロプラスチックは気道に付着することもあり、がんや男女の不妊などさまざまな健康問題との関連が指摘されている。