自分のセンサー=目、耳、鼻、舌、皮膚を、感覚器を鍛えよう。なぜ? AI時代を生き抜くためだ。AIは大脳の機能の拡張であり、膨大な情報処理がその仕事である。ならば、そっちはAIに任せ、人は己の感覚器をフル活用し、自らのセンサーを徹底的に鍛え、クリエイティブになるしかない。

書影
言語化するための小説思考』小川 哲 著 講談社/1100円+税『六四五七五(むしごしちご) 虫の絵と俳句』堀本裕樹 著、桃山鈴子 絵 毎日新聞出版/3000円+税

そこで感覚の鍛え方を、言葉の作家、絵の作家に教わる。『言語化するための小説思考』は直木賞作家・小川哲のベストセラーだ。本書で学べるのは、「ことば」と「ものがたり」、そして「小説」を生み出すために作家がどのように己の知覚を鍛錬しているか、である。面白い小説とは何か。著者は自問自答する。正答がない。将棋やポーカーのようなゲームと異なり、必勝条件がまだ誰もわかっていない。正しい答えを瞬時に出すのが得意なAIにとって、答えのない問いには勝ちようがない。

著者はここでやめない。じゃあ、AIに先回りをして、面白い小説とは何か、というゲームに対する答えを探そう。そしてユニークな手法を採用する。それは自らの修士論文執筆の際に会得した「審査を通過するために必要な」論文の必要条件を揃えることだ。