県の「形」が芋のようだから、ダサい?
著述業の50代男性は「神奈川県から引っ越してきた当初は海がないことがショックでした」と海がないことにコンプレックスを持つ人は多いですが、豊かな川(荒川、利根川など)が流れていて、しらこばと水上公園など大きなプールも各地にあります。
50代のメディア関係者の男性は「埼玉の観光地といえば川越。小江戸と呼ばれてますよね」と人気スポットを挙げてくれました。
30代のIT業の男性は「住宅地のイメージですが、登山目線で考えると、飯能や秩父は魅力的です」と、自然環境を評価してくれました。都心から日帰りで登山できます。
音楽関係の仕事をしている50代夫婦に話を振ると、夫のほうは入間市出身とのこと。
「子供の頃、入間に住んでいましたが、昔から言われていたのが、埼玉県はお芋の形をしている。それが『ダサいたま』という言葉と結びついて埼玉のイメージになってしまっている気がします。でも、東京に行くのに意外と交通の便が良く、若い夫婦が広い一軒家を買って住んでいて、便利でいいところです。宮沢湖の湖畔を高校時代にデートで歩いた記憶があります。今の飯能の『ムーミンバレーパーク』のような、北欧のイメージなど全くない暗い雰囲気の湖畔でしたが……」
埼玉県の形が芋のよう、というのは初耳でした。芋のイメージは川越市の人気にサブリミナル的に寄与していそうです。飯能のムーミンバレーパークは私も何度か行きましたが、確かに北欧風の建物や看板などでおしゃれに見える効果が。ただ、埼玉から北欧への一方的な片思い感が漂っていました。
実際、この50代夫婦の妻は「人口が多いベッドタウンで、子供がいっぱいいて元気なイメージ。正直埼玉県におしゃれな印象はないですね」とコメント。北欧テイストを取り入れるなど試行錯誤していても、残念ながらおしゃれなイメージには結びついていないようです。
埼玉県の奇祭「政財界人チャリティ歌謡祭」とは
そんなとき頭をよぎったのが、埼玉の奇祭とも呼ばれる「埼玉政財界人チャリティ歌謡祭」です。これは毎年正月の夜にテレビ埼玉で放映される県内では有名な歌番組(1992年放映開始)。見どころは、県内の企業の社長や、市長、県知事など埼玉政財界のVIPが集まり、生バンドで歌うところです。
収録は少し前に大宮ソニックシティホールで開催され、一度観覧チケットが当選した人に誘ってもらって行ったことがありました。正直、歌唱力が微妙な人が多い埼玉VIPの方々が、衣装をまとい、部下や地元の若者や子どもたちにバックダンサーをさせたり、ゆるキャラまで呼んだりして、パフォーマンスを繰り広げます。
途中客席の社員や部下など関係者が映されるのですが、うちわや応援グッズを振りながらも「目が死んでる」とネットなどでたまに話題になっています。また、バックダンサーの子どもたちにMCが感想を求めると、だいたい「がんばりました」と当たり障りのないことしか言わないのも、その場の空気に合わせる埼玉人の性格を表していて味わい深いです。
この歌謡祭は一応、チャリティイベントとして「埼玉県文化振興基金」に寄付するという名目なのですが、寄付金のボックスを覗いてみるとあまり入っていませんでした。埼玉人は倹約家なのかもしれません。
素人の政財界人が渾身の曲を披露したあと、最後に本物の歌手が登場し、全て持っていく、という構成の年もありました。あるときは演歌歌手の山川豊さんがステージの最後を飾り、「今日、(出演者の)歌を聞いてそこそこ(のレベル)かなって思いました」と本音の一言。でも、「そこそこ」というのが埼玉らしく、リラックスして聴けるポイントです。

