「不適切な行動」「酩酊状態」は本当か

「朦朧会見」の直後に、中川財相らはバチカン美術館を約2時間観光しましたが、その際にも中川財相は、美術品に触れる、柵を越えて警報を鳴らす、ラオコーン像の台座に座るなどの、不適切な行動をとっていたと日本メディアに報じられました。

書影
田村秀男『現場記者50年の証言 新書 現代日本経済史』(ワニブックス【PLUS】新書)

ところが、通訳として中川さんに同行していた日本人神父は、日本の報道に対して「中川の行動に非常識な点はなかった。『あれは間違いである』と繰り返し抗議したが徹底的に無視された」と抗議しています。

「バチカン宮殿の博物館を訪ねたときも酩酊状態で立ち入り禁止区域に入り込んで彫像に手を触れた」と日本メディアは伝えましたが、博物館訪問に同行した上野景文在バチカン日本国特命全権大使(当時)は報道関係者の取材に対し、「(中川財相の様子について)確かに若干くたびれているという感じは見受けられた。とくに酒の匂いがするという感じは私は持ちませんでした」と証言しています。

本当に酒で酔っぱらっていたとは信じ難い、日本メディアに確かな根拠もないのに一方的に非難された可能性が否めません。

引責辞任から8カ月後、自宅で急死

私自身、中川さんが財務相になる前の自民党政調会長時代に、何度か午前、早めの時間帯で、やはり米国人要人との面会での通訳を頼まれたことがありましたが、当時の朝になって中川議員事務所秘書から電話で「中川は体調が優れず、起きられないのでキャンセルしてほしい」という連絡を受けたことが二度ばかりあります。

原因は就寝前に飲んだ睡眠薬か風邪薬だったのです。要するに、中川さんはちょっとした薬物に極めて弱い体質なのです。とすると、2009年2月14日のローマでも、薬物が絡んだのではないかとも考えられますが、真相は謎のままです。

中川財相は「朦朧」会見の責任をとって、2009年2月17日に辞任しました。そして8月に行われた衆院選挙で落選、10月4日、東京・世田谷区の自宅で急死しました。

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