言葉通り、米国向けの資金提供は行わず
「米国の現金自動支払機にはならない」と啖呵を切った中川さんは実際それをやってのけました。
先述した2008年10月のワシントン会合では、国際通貨基金(IMF)に新興・中小国向けの新たな緊急融資制度を設けることを提案し、麻生太郎首相の賛同を得ていました。11月には主要20カ国(G20)首脳による金融サミットがワシントンで行われ、出席した麻生首相は「IMFに対し、補完的な資金提供の用意がある」と表明しました。
そして、2009(平成21)年2月13日、14日の両日、イタリア・ローマで開かれた主要7カ国(G7)財務相・中央銀行総裁会議に出席した中川財相は13日、ストロスカーンIMF専務理事との間で、最大1000億ドルの資金提供に関する融資取り決めに署名しました。
IMFの融資財源を暫定的に補完し、国際収支上の問題に直面している新興国や途上国支援のためであり、米国向けではありません。「キャッシュ・ディスペンサーにはならない」の言葉通り、米国向けの資金提供はしなかったのです。
ストロスカーン専務理事は「IMF加盟国一国による補完的な資金提供としては過去最大」とする歓迎声明を出しました。
あの「酩酊会見」が放送された
ところが、その翌日の2月14日、現地時間午後3時すぎから開かれた中川財相と白川方明日銀総裁との共同会見で異変が起きました。
たまたま、私も産経新聞東京本社の自室で会見のテレビ実況を見ていました。中川財相はどうしたことか、呂律が回らなくなり、目はうつろです。一瞬、頭のなかによぎりました。「一服盛られたな」と。
中川財相は当日の昼、財務省の玉木林太郎国際局長や日本から取材で同行した民放テレビの女性記者、イタリア人通訳数人と会食したとあとで聞きました。中川財相は玉木局長と麻布高校の同期で、同席した女性記者は玉木氏が誘ったと言います。
日本メディアは「酩酊、朦朧会見」と非難しましたが、中川財相は昼食で出たワインに口をちょっと付けただけで「ゴクンと呑んだわけではない」と弁明しています。

