「スキル」という客観的な基準による透明性

スキルベース組織の評価は、これら両者の課題を克服するアプローチです。その鍵は、「スキル」という客観的で透明性の高い基準を、評価の中心に据えることにあります。

具体的には、以下の2つの側面から評価を行います。

①スキルの「発揮」度合い(パフォーマンス)

保有しているスキルを、実際の業務でどれだけ発揮し、成果に繫げたか。

②スキルの「習得」度合い(成長)

新たなスキルをどれだけ習得し、能力を高めたか。

たとえばIBMでは、スキルを人材マネジメントの中核に置き、社員のスキルレベルやその市場価値に基づいて評価・報酬を決定するしくみを導入しています。同社はAIを活用して社内外のスキルデータを分析し、社員一人ひとりに必要なスキルの習得を促すと共に、その成長を評価に反映させることで、社員のエンゲージメント向上を実現しています(*)

*MIT work OF THE FUTURE “The Learning System at IBM: A Case Study

「スキル」を基準にすることで評価が公平になる

このアプローチのメリットは、評価のプロセスがきわめて具体的かつ客観的になることです。

小出翔『誰もが成長し活躍する会社のしくみ』(プレジデント社)
小出翔『誰もが成長し活躍する会社のしくみ』(プレジデント社)

上司と部下は、「どのスキルを、どのレベルまで高めるか」「そのスキルを活かして、どのような成果を目指すか」について、共通認識を持つことができます。

評価のフィードバックも、「主体性が足りない」ではなく、「提案書作成スキルをレベル3からレベル4に上げるために、○○のトレーニングを受けよう」「データ分析スキルを活かして、来期は業務効率化プロジェクトに挑戦してみよう」といった、具体的で未来志向な対話になります。

評価基準が明確で、そのプロセスが透明であれば、たとえ結果が期待通りでなかったとしても社員は不公平感を抱きにくくなります。次に何をすればよいかが明白になるため、成長へのモチベーションを維持することができます。

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