改善点より「強み」を伝える

マネジャーはポジティブ・フィードバックをできるだけ積極的に行うべきだと私は思っています。

その情報提供によって、メンバーの上質世界に「仕事は楽しいものだ」という価値観と「成長実感」が育まれていくからです。何度も言いますが、人は変えられないので仕事が楽しいと感じるかどうかは本人が決めることです。上司はコントロールできません。

オフィスで働くビジネスパーソン
写真=iStock.com/maroke
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ただ、外的コントロール型の上司ほど「結果を出すのは当たり前」と考えて、改善点を探して相手に「もっと改善すべきところ」をたくさん伝えることが“指導・教育”だと捉えてしまいがちです。しかし大切なことは、人には「5つの基本的欲求」があるということです。その中には、愛し愛されたいという愛・所属の欲求や、承認因子の力の欲求、また成長したいという楽しみの欲求があります。

メンバーは、完璧な人ではありませんが、最善を尽くしています。そして上司の私たちも同じく完璧な人はいません。人は、認められ、成長を実感できると嬉しいものです。ですから、改善点以上に「できているところ」「素晴らしいところ」「強み」「取り組み」を情報提供してあげてください。特に、影響力のあるあなたからのポジティブ・フィードバックには、力があります。上司から陰の努力を認められて嫌な気分になる人はいません。そうやって会社が、上司が、仕事が上質世界に入っていくのです。

表面的にほめるのは「逆効果」

読者の中には、かつての私のように「メンバーへの興味よりも目標達成への興味が強い人」や「基本的に他人にはあまり興味がない人」もいるかもしれません。

それでもメンバーの立場に立つと、自分への興味関心を持ってくれている上司からの言葉をより受け取るものです。

私の失敗談と改善したことを1つお話しさせてください。

今でこそ私は後天的に能力開発をしてメンバーに興味を持つことができるようになりました。しかし、かつてはただ「素晴らしいね~」を連呼するだけの上司でした。とても表面的な承認にとどまっていたのです。

これはフィードバックにおけるご法度の行為でした。私の本心ではないし、事実にも基づいていなかったからです。目の前のメンバーは全然嬉しくなさそうでしたし、言葉はメンバーの心に届いていませんでした。「軽く扱われている」「自分のことを全然見てくれていない」「おだてて何とかしようとしている」と逆効果になっていたときもありました。