相手の「存在そのもの」に感謝

3つ目は本人の存在そのものへの承認です。

存在承認とは、相手の存在そのものに対する感謝、相手の存在によって周囲に良い影響が出ていることを承認することです。

「私のチームにあなたがいてくれて助かりました」
「あなたがいることで、いつも私は前向きな気持ちになれています」
「あなたがいることでチームや組織全体に『チャレンジする』という風土が生まれていますよ」

そして4つ目は、本人が大切にしている価値観や背景への理解、共感を示します。例えば「今回の目標を達成するために、あなたが毎朝、繰り返しトレーニングをしていた取り組みを見ていましたよ」というプロセスには、「なぜそこまでしてそのことに取り組んだか」という何かしらの価値観や本人が大切にしているこだわり・背景があるものです。

会話するビジネスマンたち
写真=iStock.com/kazuma seki
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部下が「よく見てくれている」と思う上司とは

もしかしたら、そのメンバーは「お客様に絶対に喜んでもらえる仕事をしたい」という価値観や「妥協せずに仕事をする」というこだわりがあったのかもしれません。「新人のときにメンターの先輩が大事にしていた『常に期待を上回る』という指導をずっと胸に秘めて再現している」のかもしれません。マネジャーはそれを想像したり、本人に直接尋ねます。すると、ポジティブ・フィードバックもより深いものになっていきます。

「今回の目標のために、あなたが毎朝早く来て準備をしていたのを見てきました。以前、入社したばかりのときに先輩から指導されたことを今でも大切にしているからだと話してくれました。あなたの『お客様に喜んでもらいたい』という思いがきっとそうした行動につながっているんですね。そういう姿勢が信頼できると私は思っています」

結果やプロセス承認は多くのマネジャーがしています。さらに一歩踏み込んで、努力の背景にある本人のこだわりや職業観まで承認できると、「この上司はよく見てくれている」「私のことをわかってくれている」と、メンバーは感じると思います。

その結果、マネジャーが上質世界(※)に入り、言葉を受け取ってくれるかもしれません。

ただ、そうならないかもしれない。そこは「人は変えられない」のです。

※上質世界:「生存」「愛・所属」「力」「自由」「楽しみ」という5つの基本的欲求を1つ以上満たす人・モノ・状況・価値観などのこと