部活動で「体罰」「水飲み禁止」が容認されてきたワケ

事例2:学校という「治外法権」(スポーツと暴力)

もう1つ、日本社会特有の根深いトラウマシステムが存在するのが、現在でも見られる学校の運動部における「厳格な上下関係」と「体罰」です。

理不尽なシゴキ、水飲み禁止、先輩への絶対服従、そして指導の名の下に行われる暴力。これらによって、熱中症での死亡事故や自殺といった悲劇が繰り返されてきました。なぜ、学校という「学びの場」が、法律の通用しない「治外法権の暴力装置」と化したのでしょうか。

歴史を紐解けば、日本のスポーツ教育の根底には、戦時中の軍事教練の影響が色濃く残っています。極限状況(戦争)では、「個人の尊厳」や「科学的合理性」よりも、「命令への絶対服従」と「苦痛に耐える根性」のほうが、兵士として生き残る確率は高かったのです。

「殴られるのは、自分のためを思ってのことだ(愛の鞭)」と脳を洗脳しなければ、精神が崩壊してしまう。こうして「殴られて育った」被害者は、自分が先輩や指導者になったとき、同じことを行います。

そうすることで、「自分が受けた痛みには意味があった」と過去を正当化できるからです。つまり、被害者が加害者になるシステムです。

これは個人の資質の問題ではありません。かつて、それで凌がざるを得なかった「暴力で人を支配する」というサバイバル戦略が、伝統や教育という名の下にパッケージ化され、世代を超えて再生産される「システムのエラー」なのです。

「賞味期限切れ」のマニュアルを捨てる勇気

先に挙げた事例のようなマニュアルは、もう賞味期限が切れています。

和田一郎『大人になっても消えない重荷を抱える人のための 生きづらさの手放し方』(KADOKAWA)
和田一郎『大人になっても消えない重荷を抱える人のための 生きづらさの手放し方』(KADOKAWA)

現代の科学は、アルコールがトラウマを悪化させることや、恐怖による指導が脳のパフォーマンスを低下させ、逆にうつ病やドロップアウトのリスクを高めることを証明しています。

「手放す」とは、過去の人々を断罪することではありません。「あの時代はそれが必要だった。でも、今は違う」と冷静に仕分けを行うことです。

「つらいときは酒に逃げるのではなく、言葉で伝えよう」
「指導は暴力ではなく、科学にもとづこう」

その新しい価値観(OS)へのアップデートを、あなたから始めるのです。

世代を超えた負の連鎖は、誰かが「ここで終わりにする」と決めた瞬間に、初めて止まるのです。

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