「いつもの健康診断じゃ見つからない」
がんは、一生のうちに2人に1人が罹る病気になっていますが、早期発見・早期治療で治る人もうんと増えています。早期発見できるのは、「がんは怖いから」と、多くの人が理解して検査を受けているからでしょう。
しかし、腎臓病は、よほど本人の意識が高くないと早期発見できません。今の健康診断システムにまかせていたらできません。
その証拠に、日本には、現在約35万人の透析患者さんがいます。そして、毎年約4万人が新たに透析になり、約4万人が毎年亡くなっています。
この事実は、すでに危機的状況にある日本の医療制度を圧迫しています。
厚生労働省は、2028年までに、新たに透析に入る患者さんが年3万5000人以下になるようにという目標を掲げていますが、難しい状況といわねばなりません。
こうした国の事情もさることながら、私は医師として、透析に入って苦しむ患者さんを一人でも減らしたいと願って本書を書いています。
死因ランキング8位の死を招く「ラスボス」
厚生労働省が発表している日本人の死亡原因は、2023年時点で、1位がん、2位心疾患、3位老衰、4位脳血管障害……と図表1のグラフのようになります。また、肺炎と誤嚥性肺炎を合わせれば、脳血管障害よりも多くなるのがわかるでしょう。
2023年は、パンデミックを起こした新型コロナウイルス感染症が8位に入っていますが、こうした特別な事情がない限り、たいてい、不慮の事故に続くのは腎不全です。
腎不全は、いつの年も、8位前後をうろうろしています。
この年の場合、がんの24.3パーセントに対し、腎不全は1.9パーセント。この数字だけ見ると、あまり深刻な病気ではないと感じるかもしれません。
しかし、腎臓病があると、心筋梗塞、脳卒中、がんなどあらゆる病気に罹りやすく、その進行も速めることがわかっています。すなわち、腎臓病の末期症状である腎不全になる前に、ほかの病気で命を落としている可能性が高いのです。

