「年1回購入」を2回に増やせば売上も2倍になるはず

――経営資源が限られた中小企業はそうした工夫で他社と差別化することが必要なのですね。他にもなにか工夫できる点はありますか?

売上と購入頻度に関して意識を持つことも大切です。

当たり前ですが、売上は、「客数×客単価×購入頻度」で決まります。

どれも重要なポイントですが、客数は先に述べた「習慣に入り込めるか」、客単価は「商品構成」によって大部分が決まっていきます。では「購入頻度」をどう増やすかについても考えていきましょう。

メガネ業界の場合、平均的な購入頻度は年に1回です。メガネ業界がいる耐久消費財の市場は、全般的に購入頻度が低い傾向にあります。購入頻度が年に1回ということは、一度お客様を他社に奪われると、次に取り返せるのは1年後ということになります。飲食のように「今日取られても明日取り返せる」業種や、アパレルのように毎月のように購入されるチャンスがある商材と違って、一度のミスが致命傷になりやすい商材とも言えます。

このような商材を扱う場合、最も重要なのは、1年に一度という固定観念を覆して、「購入頻度そのものを上げること」でした。

今まで1年に1本しかメガネを購入していなかったお客様に、今後は2本、3本と買ってもらうことはできないか? もしくは一度に複数本買ってもらえないか? ここにすべての発想の原点を切り替えたのです。これを可能にするためには、まずお客様の購入動機を深く探る必要がありました。

眼鏡をかけている人
写真=iStock.com/Viacheslav Peretiatko
※写真はイメージです

収集用、新機能メガネで「買いたくなる理由」を創出

メガネの場合、購入頻度を上げるためのアプローチは大きく分けて2つありました。

1つ目は、潜在需要の発掘です。

例えばデザインの幅を広げる。ビジネスシーンに似合うメガネや、柔らかい印象を持たれるようなメガネなど、デザインに広がりを持たせ、ファッションに合わせたメガネが欲しくなるような提案をしました。

強烈なファンがいるブランドやIP(知的財産)、アーティストなどとコラボして、そのファン層を取り込めるような商品を発売したりもしました。コレクターズアイテムとしてのメガネを販売したわけです。

PC用や紫外線カットレンズ、遠近両用をさらに使いやすくした近々両用や中近両用レンズ、さらにはオーディオがフレームから聞こえてくるウェアラブルデバイスとしてのメガネなど、今までになかった新しい機能を備えたメガネを提案することもしました。

要するに、まだ買い替えを検討していないタイミングでも「買いたくなる理由」をいかに多く作れるか、お客様自身も気づいていない需要(ニーズ)を掘り起こせるかに視点を向け、深く掘り下げて新商品を開発していったのです。