最も天下に近いGoogleが持つ致命的な弱点
現在、最も有利なポジションにいるのはGoogleでしょう。彼らが狙っているのは、スマホ市場をAppleと二分することに成功した「Androidモデル」の再現です。
思い出してください。Androidでは、ハードウェアの製造はSamsung(サムスン)やLGといったメーカーが担い、その頭脳にあたる「OS」をGoogleが供給しました。同じ構造を、今度はAIアシスタントサービスで実現しようとしているのです。
ハードウェアの製造は各メーカーが担い、その頭脳にあたる「AIサービス」をGoogleが供給する。ユーザーがスマートグラスなどのデバイスを買い替えても、Googleのクラウドに蓄積された「その人の記憶」はそのまま引き継がれます。つまり、ハードウェアが何であれ、ユーザーの人生の記憶を握り続けることで、実質的な主導権を維持する戦略です。
ただし、Googleには長年の弱点があります。それは「ユーザーに愛されるB to Cサービス」の開発が驚くほど下手だという点です。かつて「Google+」というSNSサービスがありました。当時、Googleは人気絶頂だったAKB48を起用して大々的なキャンペーンを打ち、Twitter(現X)に対抗しようとしました。ところが、ユーザーの「居心地の良さ」や「文化」をつくることができず、ひっそりとサービスを終了しました。
GoogleのAIは非常に優秀です。しかし、日常に溶け込み、感情を共有するパートナーになれるかどうか。このハードルを越えることができれば、Googleが天下を獲ることになるでしょう。
人間関係のデータという武器を持つ「Meta」
次に良い位置にいるのがMeta(Facebook)です。彼らの最大の武器は、SNSを通じて得た世界中の人々の「人間関係」や「興味関心」のデータです。
Googleが検索履歴から私たちの「何を知りたいか」を知るのに対し、MetaはSNSのデータから私たちの「誰とつながり、何に共感するか」を知り尽くしています。この感情的なデータこそが、AIをより「親密なパートナー」へと育てるための、他社には真似できない教師データとなります。
さらにMetaが巧いのが、Ray-Ban(レイバン)やOakley(オークリー)といった有名ブランドとタッグを組んでいること。これは、スマートグラスという「ハイテク機器」を、「おしゃれなデバイス」へと変えようとする戦略です。機能はもちろん、「着けたくなる形」を普及させるこの戦略は、AIを日常に潜り込ませるうえで極めて強力です。

