絶えず真面目に働かないと成功者にはなれないのか。ライターの栗下直也さんは「本田宗一郎はホンダを創業する前、働きづめだった会社を辞めて、妻に養われながら1年間何もしない期間を過ごしていた」という――。

※本稿は、栗下直也『脱力偉人伝――人生サボるが勝ち』(亜紀書房)の一部を再編集したものです。

公園のベンチで、顔に本を載せて横になっている男性
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仕事を辞めたサラリーマンのリアル

2022(令和4)年末に会社を辞めた。正確には11月末だが、12月か11月かはあまり重要ではない。

それまでは働こうが働くまいが一定の給与が保障されていたが、働かなければゼロの身分になった。一方、どこかに毎日行く必要もなければ、やりたくない仕事は放棄できる。考え方によっては、やりたい放題である。

もちろん、40歳も超えていたので、「やってられないぞ、この野郎」と突発的に会社を辞めたわけではない。何年も前から辞めようと考えていたので、自分なりに退職後の展望はあった。

昼から釣りに出かけ、家に帰って、昼寝して、散歩がてら古本屋に立ち寄り、夜は釣った魚をあてに本を読みながら酒をガバガバ飲んで、そのまま寝る。生活に困らない程度に働く。

今、自分で書きながら「最高の生活じゃん」と再認識したが、全く実現できていない。考えてみれば、釣りは30年くらいしていないし、そもそも家の近くに魚を釣れる場所は皆無だ。それどころか、古本屋すらない。いわずもがな魚はさばけない。

といくらでも、理想の生活を実現できない言い訳は思い浮かぶのだが、会社を辞めようが辞めまいが、小市民マインドあふれる自分はバリバリ働くわけでも釣りをするわけでもなく、タラタラと働いて日銭を稼ぎ、チマチマと酒を飲んでいる。